2008年2月18日(月)「しんぶん赤旗」

偽装次つぎ

エコマーク 審査甘かった?

認定機関は天下り団体


 製紙業界の再生紙の古紙配合率偽装に続いて、印刷用インキや文具向け素材の再生プラスチックにも「エコマーク」基準を満たさない製品があったという“エコ偽装”が明らかになっています。「エコ=環境にやさしい」という消費者の信頼を裏切ったメーカーとともに、「エコマーク」のチェック機関で、官僚トップが天下る公益法人の責任が問われています。


 「エコマーク」は、資源採取、製造、流通、消費、廃棄、リサイクルにいたるまで、地球環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた製品やサービスに付けられるマーク。

 同マークの認定機関は、環境省所管の財団法人「日本環境協会」(東京都港区)です。メーカーや流通業者は一商品ごとに「商品認定審査料」二万一千円を支払って使用を協会に申請し、審査をクリアして初めて使用することができます。

 企業は、審査料とは別に、エコマークを使用すると、売り上げ金額に応じて使用料を同協会に納めることになっています。年間使用料は、売り上げが一千万円以下の場合は一律一万円。売り上げが一億円、十億円と増えるにしたがって使用料も増加、四十一億五千万円超は一律百万円です。

 いわば、「お墨付きビジネス」です。同協会の収支報告書によると、二〇〇六年度には、約二億五千六百万円の収入がありました。

 再生紙の偽装を認めたのは日本製紙、王子製紙など大手を含む十七社。偽装インキの出荷は大日本インキ化学工業など十四社。“エコ偽装”はそれぞれ業界ぐるみの様相となっています。日本環境協会によると、約四千八百あった認定商品は、同協会のホームページへの掲載を中止するなどして、現在は約四千六百四十になっています。

 申込書や書類だけによる審査は甘くなかったのか―。同協会エコマーク事務局の宮川昌治企画部長は、「製紙会社などの大手がウソをつくはずがないだろうという“性善説”に走っていた。こういう事態になって、有効な手だてがあるかどうか、急いで考えないといけない」と話します。

 エコマークという「お墨付き」を信頼してエコ商品を買った消費者。「消費者からのクレームは、あまり見当たらない」と宮川氏はいいますが、エコマーク商品の類型選定や基準制定・見直しを審議する「類型・基準制定委員会」の十四日の会合では、「消費者に対するメッセージが何もない」と批判的意見が出たといいます。

 同日、エコマーク事務局は「偽装問題の発生は大変遺憾であり、未然に防げなかったことについて、消費者の方々にお詫(わ)びする」「再生材料を使用した製品にかかわる検証方法の強化について検討する」とホームページで発表しています。


 日本環境協会 理事長は元環境事務次官。理事十七人中、八人が通産、厚生、科学技術の各事務次官、消防庁長官など官僚トップはじめ天下りがズラリ。うち、環境省(旧環境庁)出身は、長官官房審議官、公害研究所長の二人です。

 常勤役員は一人。協会の収支報告書(〇六年度)によると、役員報酬は二千六百八十四万円。エコマーク運営委員会(二十三人)には、学者や消費者団体代表のほか、日本製紙連合会、日本経団連の各常務理事も。


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