2008年2月16日(土)「しんぶん赤旗」

難病対策予算「もっと」

待たされる新規認定


 〇八年度政府予算案の難病対策が具体化しつつあります。厚生労働省は三月にも、その内容を最終決定します。政府の難病対策の問題点をみました。(今田真人)


 難病は、原因が不明で、治療法が確立していない病気といわれます。だから、難病患者の最大の願いは研究事業の拡充です。

 現在、政府が研究対象にしているのは百二十三疾患です(〇七年度)。患者団体は、まだ指定されていない難病を新たに研究対象に指定してほしいと要望しています。

 ところが、〇八年度政府予算案は、この研究事業(難治性疾患克服研究事業)の予算を二十四億四千百二十二万円とし、前年度予算比で約一億三千万円減らしました。  ここに、福田内閣・与党の難病患者に冷たい姿勢がくっきりと現れています。

 厚生労働省が〇八年度に研究事業の追加指定を検討している疾患は、先端巨大症や線維筋痛症など二十二疾患です。

 同省は「いま研究事業の対象として指定している百二十三疾患の一部を〇八年度から外すことはない。しかし、研究事業予算は減らされているので、対象疾患の追加指定ができるかどうか、悩んでいる」(疾病対策課)といいます。

新規追加困難と

 政府の難病対策には、研究事業の対象疾患の中の一部の疾患の患者について、医療費の自己負担を軽減する事業(特定疾患治療研究事業)もあります。この事業の対象は四十五疾患です(〇七年度)。

 〇八年度政府予算案は、この事業予算を二百八十二億四千三百三万円にし、前年度比約三十六億円増やしました。

 厚労省は「この事業は都道府県が実施主体で、国は事業費の二分の一を上限に負担することになっている。しかし、実際は国の予算が追い付かず、都道府県が超過負担をしているのが現状。今回の約三十六億円の増加は、その超過負担の一部を解消するもので、対象疾患を増やすことは難しい」(同課)といいます。

ムダ予算削れば

 一方、難病の研究予算は一疾患あたり約二千万円(〇七年度の同予算額を疾患数百二十三で割ったもの)にすぎません。

 〇八年度政府予算案の軍事費は四兆七千七百九十六億円。うち、最近の沖縄での米兵による女子中学生暴行事件に象徴される、在日米軍に対する「思いやり予算」は二千八十三億円です。

 このケタはずれのムダな支出を削るなど、予算案を少し組み替えるだけで、研究事業として検討している二十二疾患の追加指定(予算額四億四千万円)は十分可能な計算です。


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