2008年2月15日(金)「しんぶん赤旗」

主張

米兵の凶悪犯罪

米軍の駐留を見直すときだ


 女子中学生暴行事件で沖縄と全国の怒りは頂点に達しています。

 沖縄県の仲井真弘多知事は福田康夫首相らに直接抗議し、県議会をはじめ沖縄市議会、北谷町議会なども相次いで抗議決議をあげています。

 政府は米軍に綱紀粛正と再発防止を申し入れるなど、対応に躍起です。アメリカもシーファー駐日大使や沖縄米軍の最高責任者が「遺憾」を連発しています。しかし、高村正彦外相が「日米関係への悪い影響を少なく収められるかどうか」というように、両政府の関心はもっぱら日米軍事同盟を傷つけないことに向いています。これでは県民・国民の安全を守れるはずはありません。

押し付けの沖縄基地

 日本の米軍基地は、アメリカが戦後の占領の継続として、問答無用とばかりに押し付けたものです。国民が犠牲に耐えなければならない理由はそもそもありません。

 とりわけ沖縄の基地は、米軍が占領中に住民から土地を強奪し、さらに銃剣とブルドーザーで拡大した理不尽きわまるものです。日本政府がアメリカいいなりに基地を追認した結果、米軍犯罪も多発しています。この事実に目をつぶり、「痛みを軽減する」といっても筋が通りません。

 六十年以上も県民に言語に絶する苦痛を強いてきた誤りを認め、抜本的な対策をとるのが政府の務めです。「綱紀粛正」で一件落着にするのではなく、犯罪の温床である基地をなくす方向にふみだすべきです。

 政府は「日本を守るために米軍は駐留している」といって、県民に犠牲を強いてきました。県民に我慢をせまるだけの日本政府の態度が米軍犯罪を助長してきたことは否定しようがありません。しかし、「ソ連」が崩壊し、「防衛計画の大綱」が日本にたいする「本格的な侵略事態生起の可能性は低下」しているというように、「日本防衛」はいまや口実にさえなりえません。

 重要なのは、米軍基地は「日本防衛」と無関係に、アメリカの先制攻撃戦争の足場になっていることです。イラク戦争でも沖縄は出撃基地にされています。普天間基地(宜野湾市)の大型輸送ヘリが二〇〇四年に、住宅密集地に隣接する沖縄国際大学に墜落した事故もイラク派遣に備えた訓練中の出来事です。

 「日本防衛」と関係ない米軍のため県民が犠牲になるいわれはないという沖縄県民の声を政府は、正面から受け止めるべきです。

 「綱紀粛正」や隊内教育の強化で終わりにさせるわけにいきません。一九九五年の少女暴行事件のさい、アメリカ政府と米軍が再発防止を明言したにもかかわらず、性犯罪が相次いでいます。とくに沖縄で米軍犯罪がなくならないのは、多くの米兵の血を流して沖縄を占領したという隊内教育や広大な一等地を奪い、米軍地位協定で特権をもっていることと結びついています。米軍犯罪をなくすには、基地の縮小・撤去以外に道はありません。いまこそ本質的な議論と運動をつよめるときです。

安保廃棄の旗を高く

 米軍基地と部隊駐留を許している根拠は日米安保条約です。日本と極東の平和と安全を目的にした安保は、いまやイラク出撃など世界各地の戦争に出撃することを認める「世界安保」に大変質しています。戦争を禁止した憲法をもつ日本が、アメリカの先制攻撃戦争の拠点になることを認めるわけにはいきません。

 安保条約廃棄の旗を高く掲げ、基地撤去と米軍撤退を要求する運動を大きく広げることが重要です。



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