2008年2月8日(金)「しんぶん赤旗」
仏タクシー業界、政府に勝った
規制緩和やめさせる
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【パリ=山田芳進】フランス・タクシー運転手の業界団体「タクシー業者全国連盟(FNAT)」のエスティバル会長は六日、政府側からタクシーの規制緩和はしないとの確約を得たとして、争議の終結を宣言しました。
タクシー業界は、先月末に同業界をはじめいくつかの職種の「開放」を提案する大統領諮問委員会の報告が提出されたことに反発。同三十日と今月六日に二週続けてストを行い、全国で幹線道路を封鎖するなどの行動を展開してきました。
業界の反発を受けて、フィヨン首相は業界団体との交渉を約束。この日の交渉後に発表された声明で、同首相は政府の目的は規制の撤廃ではなく、「タクシー業の経済的バランスを崩壊させることなく、公平性を確保しながら業界を改革していくことだ」と述べました。
諮問委報告は、全国で約四万六千台(パリで約一万六千台)のタクシーを、ライセンスの無料化により、パリだけで五、六万台に増やすことで雇用を創出できると提案。タクシー業界はこれに反対する一方で、政府に対しタクシーの公共交通手段的性格を認め、料金の改定やガソリン税免除を要求していました。
デモに参加した四人の子を持つアルジェリア系のアブデルさん(41)は、「週七十時間走る。時間当たりにすれば、最低賃金並み。やっとの思いで家族を養い、建設業でためた頭金で買ったライセンスのローンを払っている。これ以上台数が増えたらやっていけない」と語っていました。