2008年2月3日(日)「しんぶん赤旗」

主張

アフリカ支援

貧困救済への努力が足りない


 ことし五月、横浜市で、日本が国連などと共催するアフリカ開発会議の第四回会議が開かれます。

 アフリカの焦眉(しょうび)の問題は貧困救済です。とりわけアフリカ五十三カ国のうち四十八カ国が属するサハラ以南(サブ・サハラ)にあって、世界銀行が低所得国と認める三十四カ国の貧困は深刻です。日本政府はアフリカの貧困救済に本腰を入れてとりくむ必要があります。

むきだしの国益優先

 世界銀行が昨年四月に公表した「世界開発指標二〇〇七」によれば、二〇〇四年時点で、一日二ドル未満で生活する貧困層の数は二十六億人です。世界人口(六十二億人)の実に四割を占めます。

 とくにアフリカのサハラ以南は深刻です。一日二ドル未満で生活する貧困層の数は継続的に増大し、一日一ドル未満で生活する最貧困層の数は、依然として二億九千八百万人もいます。二〇〇〇年の国連「ミレニアム・サミット」の約束にもとづいて、国際社会が貧困救済をさらにつよめることが急務です。

 問われるのは日本政府の態度です。貧困救済を正面にすえているとはとても思えません。政府は〇五年のアジア・アフリカ首脳会議で、〇三年のアフリカ向けODA(政府開発援助)の実績を〇七年までに倍増すると約束しました。外務省は「達成のめどがついた」といいます。

 しかし、問題はその内容です。アフリカ向け総額は増えても、サハラ以南の低所得国三十四カ国向け援助の割合は下がるばかりです。

 〇三年のアフリカ援助の実績は、援助総額五億三千万ドルのうち三十四カ国向けは四億五千万ドルでした。〇六年は、援助総額が約二十五億六千万ドルと〇三年の四倍にもなったのに、三十四カ国向けは六億八千万ドル、〇三年の五割増しにすぎません。援助総額に占める割合は27%にもなりません。これでは発展途上国の期待にこたえることはできません。

 昨年三月来日したリベリアの大統領は、日本の援助は「アフリカがのぞんでいるレベルに達していない」ときびしく批判しました。

 貧困救済を相対的に低下させたのは、サハラ以南にあっても低所得国でないナイジェリアに、アフリカ援助総額のほぼ六割の十六億三千万ドルを援助したことによります。アフリカのどの国にも援助は必要ですが、これは異常です。ナイジェリアは原油資源の豊富な国です。原油獲得のために援助していると国際社会からみられても仕方がありません。

 高村正彦外相は「対アフリカ協力から、短期に直接の見返りを必ずしも求めておりません」(一月四日)といいわけをしています。しかし、これはごまかしです。政府は昨年四月の第八回海外経済協力会議で、アフリカ援助にあたって、貧困・紛争などの「諸問題の解決への貢献」、日本の国連安保常任理事国入りの支持取り付けをねらった「外交基盤の強化」、それと「資源の宝庫」の三点が重要だと確認しています。

 ODAは貧困救済など人道的見地を貫くべきです。資源獲得など国益を優先させるのは誤りです。

人道軽視の見直しを

 日本のODAはアメリカの世界政策の補完、大企業の利益奉仕が基本です。これを変えない限り、経済力に見合った貧困救済は困難です。貧困をなくし、発展途上国全体を発展させてこそ、世界を平和と社会進歩の方向に変えることができます。

 ODA政策を貧困救済、人道援助中心に転換することは急務です。


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