2008年2月2日(土)「しんぶん赤旗」

農民13万人抗議デモ

自由貿易協定見直し要求 投機への批判も

メキシコ


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(写真)「NAFTAノー、トウモロコシぬきに国はない」と書いた横断幕を掲げデモをする中部サカテカス州の農民ら=1月31日、メキシコ市(松島良尚撮影)

 【メキシコ市=松島良尚】メキシコ市で三十一日、北米自由貿易協定(NAFTA)のもとですべての農産物が今年から完全輸入自由化になったことに対する農民らの抗議デモがあり、全国から十三万人(主催者発表)が参加しました。一九九四年のNAFTA発効以来、最大規模の抗議行動です。

 農民らは「トウモロコシがなければ国は滅びる」「農村とメキシコを救おう」などの横断幕を掲げ、レフォルマ大通りの独立記念塔など数カ所から行進し、市中心部の憲法広場に集結しました。

 全国農民連盟のロペス議長は、NAFTAの農業条項について米、カナダとただちに再交渉すべきだと主張。「われわれは、いけにえの羊のようにメキシコの農業を引き渡してきた」と指摘、「農産物の輸出入を投機資本の自由にはさせない」と訴えました。

 デモに参加したフェルナンデスさん(45)は、プエブラ州で五十数人の仲間と五十ヘクタールの畑でコーヒーやトウモロコシを栽培しています。月収二千ペソ(約二万円)に届かず、「農業を大事にしてほしい。米国に不法に出稼ぎにいく人がますます増えるだけだ」と言います。

 NAFTAはメキシコの主食であるトウモロコシなどを例外品目として扱ってきましたが、発効十五年目の今年一月から輸入規制が取り除かれました。補助金による安い米国産農産物の輸入急増で打撃を受けてきたメキシコ農業は、いっそう追いつめられるという懸念が広がっています。

 一月三十一日付の新聞には、中道左派・民主革命党が地方政権を担っているメキシコ市と五つの州政府の共同意見広告「農村の再生と主権、食料安全保障を求める」が掲載されました。


 北米自由貿易協定(NAFTA) 一九九四年に発効したカナダ、米国、メキシコの三カ国間の自由貿易協定。貿易と投資の自由化だけでなく、貿易紛争処理など広範な内容を持ちます。二〇〇三年までにほとんどの品目で関税を撤廃。最後まで残ったトウモロコシなど農産物の関税も、今年一月にすべて撤廃されました。


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