2008年2月2日(土)「しんぶん赤旗」

道路財源で米軍住宅

1戸あたり2.5億円

海軍の当初計画通りに

長崎・佐世保


 長崎県佐世保市で在日米海軍が思いやり予算での建設を計画していた米軍将校住宅を、国土交通省が道路特定財源から約二十八億円をかけて建設し、提供していたことが本紙の調べで分かりました。高速道路建設にともなう米軍住宅の移設を名目に、米軍の以前からの要望を実現したかたちで、道路特定財源での支出が適切だったのかが問われます。(本田祐典)


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 問題の住宅は二〇〇七年に完成したフィドラーズグリーン米軍住宅(佐世保市金比良町)。市道に面した斜面の国有地を十四億円かけて造成。城のような擁壁はもっとも高い場所で十四メートルに及びます。約一万二千平方メートルの敷地に八棟十一戸の住宅が建設されており、一戸当たりの費用は約二億五千万円になります。

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(写真)高台の上に建つ米軍住宅=長崎県佐世保市

 国交省長崎河川国道事務所は、西九州自動車道の用地取得にともなって取り壊す米軍住宅の代替として道路特定財源で建設したとしています。住宅の基本計画は〇四年五月に日米合同委員会で合意。その後、長崎河川国道事務所が米海軍側と細かい調整を繰り返しながら建設しました。

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(写真)米軍住宅の建つ高台の擁壁は高さ14メートル。まるで“要塞(ようさい)”

 ところが米海軍は、高速道路のルートすら決定していない一九九○年九月に作成した「佐世保湾米海軍施設マスタープラン」のなかで、すでにこの国有地での住宅建設を決めていました。日本政府の思いやり予算で整備する施設として「フィドラーズ・グリーン家族住宅 6戸 2000(千ドル)」と記しています(梅林宏道著『情報公開法でとらえた在日米軍』に掲載の米軍資料)。

 また、米海軍の公式ホームページでは、同住宅のオープニングセレモニーを報じた記事(〇七年八月二十三日付)で「費用は日本政府が改善計画(米日政府間での日本による支援プログラム)の一環として支出した」と記載。「計画案は両政府間で十八年前(八九年)に提案された」としています。

 同省長崎河川国道事務所の担当者は「住宅の場所や擁壁の高さなどの基本計画は日米合同委員会で決定しており、それに従って建設した。米海軍の住宅計画が以前からあったことは知らなかったので、驚いている。あくまで道路計画にかかわっての移設だと認識している」としています。



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