2008年1月31日(木)「しんぶん赤旗」

08米大統領選

献金額 最高上回る勢い

資金が勝敗を左右

クリントン氏 軍需産業から多額


 米国の大統領選挙は、指名争いから本選挙まで、集めた選挙資金の総額が勝敗を左右します。今回の大統領選挙は「かつてなく高くつく選挙」(米メディア)となることが確実視され、産業・利益団体からも各候補へ多額の資金が流れています。秋の大統領選挙へ向け、候補者がこれまで集めた総額はすでに四億二千万ドル(約四百四十五億二千万円)を超え、最終的な大統領候補者は一人五億ドル(約五百三十億円)を集金すると予測されています。(ワシントン=鎌塚由美)


 前回二〇〇四年の大統領選挙候補の総計は史上最高の六億九千三百万ドル(約七百三十四億五千八百万円)。今回はこれを上回る十億ドル(約一千六十億円)にのぼる勢いです。

 各候補への資金の流れを分析している民間団体「センター・フォー・リスポンシブ・ポリティックス」(CRP)によると、二大政党の議員・候補者への献金総額は、上位五十の産業・利益団体で、四年前の同時期比で46%増加。多額の献金を行う産業からは57%が民主党に流れ、〇四年と〇六年比で14ポイント増加するなど、民主党へのシフトが起こっています。

 大統領指名争いで上位を争う各候補は、献金集めでも上位につけています。ウォール街の象徴、証券・投資産業からの献金で、民主党はクリントン上院議員(四百七十三万五千七百三十ドル)、共和党ではジュリアーニ前ニューヨーク市長(四百五十万六千二十六ドル)の両氏が最多です。

 大統領選挙の争点の一つ、医療保険問題と関連する保険産業からの献金では、最多の集金は共和党のロムニー前マサチューセッツ州知事(六十二万九千百六十七ドル)。民主党で最多はクリントン氏(五十二万五千九百三十八ドル)です。

 軍需産業関連では、民主党が四百八十六万一千百八十一ドルで52%(〇四年、38%)を占め、長年より多くの献金を受けてきた共和党を上回りました。

 コロンビア大学のトマス・エドサル教授が米国の政治ブログ「ハッフィントン・ポスト」に発表している記事(〇七年十月)によると、軍需産業では民主党候補者のなかで「クリントン氏が最もペースの早い集金」を行っています。


政治資金の規制に抜け穴

 米国では、企業や労組の直接の献金は法律で禁止され、国民一人の献金額は上限(候補者へは二千ドル、政党へは二万五千ドル)があります。企業や労働組合は、その利益を代表する政治活動委員会(PAC)から、各候補・政党に献金し、予備選、本選挙ごとに各候補へは五千ドル、政党へは年一万五千ドルまでの献金が可能です。

 これら制限つきの「ハードマネー」に対し、「ソフトマネー」と呼ばれる献金の抜け穴があります。個人、企業、労組が州レベル以下の各政党に無制限に献金できます。名目は選挙人登録など地方の政治活動のためといいますが、最終的には政党から各候補に回されることになります。


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