2008年1月29日(火)「しんぶん赤旗」

韓国サムスン窮地に

特別検察官が本格捜査


 韓国最大の財閥、サムスングループが窮地に立たされています。同グループが巨額の裏金を運用して政官界工作を続けてきたとされる問題で、特別検察官チームの本格的な捜査が始まったためです。李健熙(イ・ゴンヒ)会長の自宅や、グループ全体の「司令塔」とされる戦略企画室にも捜査の手が入り、グループ内部では「パニック状態」(東亜日報)が続いています。

 同グループの裏金疑惑は、元法務担当常務の金勇熙(キム・ヨンチョル)弁護士が昨年十月末、内部資料を暴露したことが発端。十一月に成立した特別法に基づく特別検察官チームが今年一月十日に正式に発足し、同グループの中核企業や関係者に対する捜査が続いています。

 金弁護士によると、裏金の規模は「総額十兆ウォン(約一兆一千億円)以上」。検察官チームは、サムスン証券に開設された現・元役員名義の借名口座の中から、約一兆ウォン(千百億円)の資金の存在を確認したといいます。

 検察官チームは十四日、李会長の執務室や、戦略企画室長を務める李鶴洙(イ・ハクス)副会長ら幹部役員の自宅を家宅捜索。翌十五日には、李会長の自宅や、サムスン本社の戦略企画室などを家宅捜索し関係資料を押収しました。

 この日の捜査について、東亜日報十六日付は、会長執務室は「サムスンの心臓」、戦略企画室は「李会長の意を受け、サムスンの経営を総括する司令塔」にあたり、「サムスングループは、ぼうぜん自失の雰囲気だった」と伝えました。

 二十一日には、グループ企業が経営する京畿道竜仁市のテーマパーク・エバーランドの倉庫に保管されていた大量の美術品の中から、金弁護士が「裏金で購入した」と証言する作品の一部が見つかりました。

 さらに二十五日には、顧客に支払うべき保険金の一部をプールした疑惑がもたれているサムスン火災とデータセンターにも家宅捜査が入りました。

 サムスングループは、韓国の輸出の25%、株式市場の時価総額の23%を占める巨大財閥。かねてより、資金力をバックに政界、官界、法曹界、言論関係者などに広範なロビー活動を行い、影響力を行使してきたといわれています。

 朝鮮日報十六日付は社説で、「問題の根源は、(経営者一族が)世界的巨大企業を相続しながら、国内中小企業並みに税支出を抑えようとした」ことだと指摘。「世界のサムスンで、常識外れのこのような便法がすばらしいアイデアとして採択され、実践されたという事実自体が信じがたい」と論評しました。

 捜査が同グループにもたらす影響は大きく、経済紙ファイナンシャルニュース二十四日付は、「このままではサムスングループの瓦解もありうるという危機感が広がっている」と報じています。(中村圭吾)


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