2008年1月24日(木)「しんぶん赤旗」

核兵器ゼロ 新たなうねり

廃絶求めた署名運動始まる

平和財団呼びかけ

“次期大統領は指導性を”

アメリカ


 【ワシントン=西村央】「核兵器のない世界のために米国のリーダーシップ」を次の大統領に求める署名運動が米国内で始まっています。国連社会経済理事会の諮問資格を持つ「核時代平和財団」(本部、カリフォルニア州サンタバーバラ市)が呼びかけているものです。集められた署名は、来年一月、就任直後の新大統領に渡されます。


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(写真)大統領選挙で核廃絶の世論を盛り上げようと広島市が全米101都市で取り組んだ原爆展=07年10月24日、米コロラド州ボルダー(山崎伸治撮影)

 米国では最近、核戦力を推進してきた元国務長官や元国防長官ら四人がウォール・ストリート・ジャーナル紙上(十五日)で「核兵器のない世界に向けて」を呼びかけ。米国内で核兵器の廃絶に向けた呼びかけや運動が広がっていることが注目されます。

 この署名では、「目をくらますような閃光(せんこう)が次に来る前に、核兵器の拡散、核テロや核戦争を防ぐ唯一で確かな道は、世界の核兵器を取り除くことだ」と訴え、核兵器の時代を終わらせなければならないこと、そのためには指導性と誓約が必要であると表明しています。

 世界最大の軍事大国である米国が▽核弾頭を運搬手段から取り除き臨戦態勢を解除する▽核兵器先制使用をしないという誓約をする▽包括的核実験禁止条約を批准し、核物質を管理する―ことなどを求めています。

優先的課題に

 次期米国大統領に対しては「核兵器のない世界を緊急の優先課題とし、この目標を理解してリーダーシップを発揮すること」を要求するものとなっています。

 「核時代平和財団」が署名を呼びかけたのは十六日。きっかけは、昨年の米国内の二つの世論調査です。米国人の四分の三がすべての核兵器の廃絶を望んでいるものの、その多くが成し遂げるにはあまりに困難と考えており、削減や廃絶の道筋についても知らないという調査結果でした。

 同財団の代表であるデビッド・クリーガー氏は、キッシンジャー元国務長官、シュルツ元国務長官ら四氏が昨年一月に続き、この十五日に「核兵器のない世界に向けて」の見解を出したことに賛同の声明を発表。「キッシンジャー氏らはブッシュ政権を超え、その先をみながら、新しい米国大統領に期待をかけているに違いない」とのべ、署名の方向と一致していることを挙げました。

意見表明続く

 米国では昨年来、歴代政権内で核戦略に携わってきた閣僚、高官や核問題の専門家の間で「核兵器のない世界」に向けた意見表明や議論が続いています。そうしたなかで始まった新たな署名の呼びかけは、すべての国民の核兵器廃絶の思いと、そのための努力を新大統領に託すことを表明するものとなっています。



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