2008年1月20日(日)「しんぶん赤旗」

原油対策

漁業より軍事優先

補正予算案 防衛省分2割超


 二〇〇七年度補正予算案に盛り込まれた原油価格高騰対策費のうち約二割が、防衛省関係分であることが分かりました。

 政府は昨年十二月十一日、原油価格高騰に対する緊急対策の基本方針を決めました。同方針に盛り込まれた緊急対策を〇七年度補正予算案と〇八年度予算案で具体化する予定です。

 このうち、〇七年度補正予算案に盛り込まれた原油価格高騰対策費は総額で約五百七十億円。内訳を見ると、自衛隊用の燃料購入費として約百二十四億円が計上されています。

 同対策費には、漁業の燃油高騰対策として約百二億円が計上されています。具体的には、省エネルギー型漁業への転換促進のための基金を設置します。

 燃油高騰によって漁に出られない漁業者すら生じているのが実態です。しかし、補正予算は、こうした漁業者のための支援策よりも、防衛省(自衛隊)向けの対策費が上回るという「逆立ちぶり」を示しています。

 同対策費にはそのほか、資金繰りが悪化する中小企業支援策として中小企業金融公庫へ約二百三十億円が出資されるのをはじめ、高速道路の料金引き下げのために約六十七億円なども盛り込まれています。

漁民にこそ油回せ

 岩手県山田町の漁民・男性(60)の話 タラ漁をしていますが、水揚げは年ねん減っています。魚価も下がる一方で、昨年のクリスマスの時期の半分に落ち込んでいます。それに追い打ちをかけるのが重油の高騰です。魚を詰める箱なども大幅に値上がりし、経営も赤字が続いています。漁民がこれだけ追い詰められているのに、水産業対策より自衛隊の燃料費の方が多いなんてどういうことなのか。さらに戦争のための給油活動を再開するというでしょう。おれたちにこそ油を回せ、といいたい。政府は国民の実態に見合った実効性のある対策をとるべきです。

グラフ

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