2008年1月17日(木)「しんぶん赤旗」

イラン問題で米主要紙に論評

米に対話と外交求める


 【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領が中東歴訪を通じて、イランの脅威をあおっていることをめぐり、それを批判する論評が米主要紙に掲載されています。いずれもブッシュ政権に問題の平和的・外交的解決を促すものとなっています。

 メリーランド大学のシブリー・テルハミ教授は十四日付のワシントン・ポスト紙で、アラブ諸国が米国に期待しているのはイスラエル・パレスチナ問題の解決であり、イランとの対決ではないと強調しました。

 テルハミ氏は「イラクにおける混乱やイランとの対決が米国の立場を弱めてきた」と指摘。湾岸地域における米軍の駐留は「地域諸国の政府ではなく、米国の利益を守るためのもの」であり、「国民はイランよりも米国をはるかに大きな脅威と見なしている」と強調しています。

 カリフォルニア大学のスティーブン・ウェーバー教授とデューク大学のブルース・ジェントルソン教授は、十三日付のロサンゼルス・タイムズ紙への寄稿でブッシュ政権の外交政策の行き詰まりを論評。そのなかでイランの問題を取り上げました。

 二〇〇一年九月の同時多発テロと〇三年三月のイラク開戦の際、イラン政府が交渉の意思をほのめかしたにもかかわらず、「ブッシュ政権は事実上、イランとの関係改善の機会をはねつけた」と指摘。「悪の枢軸」という名指しや好戦的な言動、一貫して武力行使の脅しをしてきたことを批判したうえで、米国の現在の目標は「イランの核計画を阻止する」一方、「同国内から政治的変革が起こるのを待つ」ことだとしています。

 米国家安全保障会議の元スタッフ、マーク・ブレジンスキー氏と米外交評議会の上級フェロー、レイ・タケイ氏は十一日付のボストン・グローブ紙で、「対話と外交がいまもイランの突きつける難題を軽減する最良の方法だ」と論じました。

 「(イランが核開発を中止しているという)情報評価の後、武力行使に対しては米国内も国際的にも同意はない」と指摘。「イランに対する冷静で戦略的な政策を追求すること」で、「西側や国際社会との緊密なつながりが、イランにいっそうの繁栄と安全をもたらす」ことをイランの将来の指導者が認識するだろうと分析しています。


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