2008年1月16日(水)「しんぶん赤旗」

派兵恒久化へ“火種”

民主案を継続 自公賛成

集団自衛権行使に道

衆院本会議

共産党は反対


 臨時国会が十五日、百二十八日間の会期を終え、閉幕しました。この日、衆院本会議が開かれ、民主党が昨年十二月二十一日に提出した新テロ特措法の「対案」について継続審議にすることを自民、公明、民主、国民新の各党の賛成多数で議決しました。日本共産党と社民党は反対しました。与党は、参院では同法案に反対しており、安全保障という国政の基本問題で衆院と参院で異なった対応をするという、異常な事態となりました。


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(写真)継続審議を自民、公明、民主の賛成で議決した衆院本会議=15日

 同法案は、海上自衛隊をインド洋に再派兵する政府提出の新テロ特措法に対する「対案」として、民主党が参院で提出したものです。「国際的なテロリズムの防止及び根絶」を掲げ、それに対応するという口実で、自衛隊の常時、迅速な海外派兵を可能にする恒久法=本格的海外派兵法の早期整備を求めています。

 その恒久法の中身として「憲法の下での自衛権の発動に関する基本原則」を盛り込んでいます。自衛権について民主党は、個別的自衛権と集団的自衛権の区別なく容認する方向を打ち出しており、この「基本原則」が「テロ根絶」を口実にした集団的自衛権の行使=海外での武力行使に道を開く危険があります。

 今回、与党が異例の対応をしたのは、民主党とともに恒久法を推進する立場から、制定につなげる協議のきっかけ、“導火線”としたい思惑があるからです。

 同法案は、「復興支援活動」を口実にしたアフガニスタン本土への自衛隊派兵が前提。国連の決議などがあれば海上阻止活動そのものへの参加も検討するとしています。さらに、武器使用基準も、自衛官が自分などを守るためだけに限定していた従来の海外派兵法より緩和し、「活動の実施に対する抵抗を抑止するため」にも可能としています。

 衆院本会議で新テロ特措法を再議決する動議に対する賛成討論(十一日)で、自民党の小坂憲次議員は「民主党の対案には今後の重要な検討課題として議論すべき内容も含まれている。民主党をはじめ、野党と緊密に協議し、自衛隊の海外派遣にかかわる恒久法の制定につなげていくべきだ」と主張。福田康夫首相も「これから国会でおおいに議論させていただきたい」(九日の党首討論)と述べていました。


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