2007年12月31日(月)「しんぶん赤旗」

韓国大統領選挙

「若者は保守化」?

20―30代 悩んだ選択


 韓国大統領選挙(十二月十九日)で保守野党ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)候補が、若年層でも他候補に大差をつけたとの調査結果が話題になっています。多くの韓国メディアが「若者の保守化」と報じました。しかし実際に若い有権者に聞いてみると、「保守化」ではなく、「誰が本当に国民の声に耳を傾ける候補か」を真剣に悩んだようすがうかがえます。(面川誠)


 全国ネットSBSの調査によると、李氏の得票率は二十―三十代で約40―42%。全体での得票率48・6%を下回りますが、これまで保守政党に批判的とされてきた若い世代の変化が注目されました。

悪口ばかり

 ソウルに住む旅行会社従業員の朴永淳(パク・ヨンスン)さん(33)は、迷った末に李氏に投票しました。二〇〇二年は盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領を支持。今回も与党の鄭東泳(チョン・ドンヨン)氏を推そうかと思い、鄭氏のホームページを見てがくぜんとしました。

 「書いてあるのは李氏の悪口ばかり。政策そっちのけで、韓国をこう変えたいという熱意は何も伝わってきませんでした。経済立て直しを訴える李氏の方が、ましだと考えた」

 南東部の蔚山市に住むコンピューター・プログラマーの女性(29)は棄権しました。ハンナラ党の地盤で、与党の選挙運動はないに等しい地域です。「金銭がらみのスキャンダル疑惑だらけの李氏は、どうしても庶民の代表には見えませんでした。民主化や南北和解に努力してきた与党もいいのですが、鄭氏には強い主張が感じられませんでした」

 ソウルに住む大学生、盧享貞(ノ・ヒャンジョン)さん(22)は、創造韓国党の文国現(ムン・グッキョン)氏を選びました。「他の候補よりクリーンな印象があるから。経営者のときも清廉な企業家だったことで有名です」

 文氏は大企業経営者出身ながら、市場万能主義を批判し企業の社会的責任を強調。二十代の間で約15%(全体では5・8%)の票を得ました。

 盧さんは南西部の光州市出身。一九八〇年に軍事政権の弾圧で二百人以上の死者を出した「光州民主化運動」(光州事件)で知られます。ハンナラ党の前身は軍政与党の民主正義党です。「親の世代はハンナラ党を死ぬほど嫌っていますが、私は特に好きでも嫌いでもありません」と盧さんは言います。

格差の拡大

 インターネット新聞プレシアンは、こう分析します。

 「二十代と三十代初めまでの世代にとって、社会に出てからの苦労は現与党政権の十年の間での経験だけだ。社会全体では『保守政党の政権復帰』だが、若い世代にとっては初めての政権交代だ。『保守か進歩か』という色分けは重要ではなかった。これぞという候補がない中で、格差の拡大など社会問題の深刻化に対する反発心理の結果、李氏をはじめ各候補に票が分散した」


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