2007年12月30日(日)「しんぶん赤旗」

生活保護

「漏給防止」を強化

世論受け厚労省が対策


 二〇〇八年度政府予算案のなかで、生活保護を必要とし適用しなければならない生活状況にある世帯への給付もれがないよう「漏給の防止」について厚生労働省が対策強化をうちだしていることがわかりました。

 生活保護の適正な実施の項目のなかで「生活保護を受けられるべき者が受給できるよう『漏給の防止』についても徹底を図るための対策を強化する」と明記しています。

 生活保護を利用している世帯は百九万世帯です(〇七年七月)。ところが行政による違法な申請拒否や排除が相次ぎ、生活保護を必要とする人で生活保護を利用している割合は、二割前後にとどまっていると見られています。このため、北九州市はじめ各地で餓死・孤独死が相次ぐ事態を招いています。

 「政府・行政は憲法二五条にもとづく生存権保障義務を果たせ」との市民運動が起き、日本共産党国会議員団の追及によって厚労省が「漏給の防止」をいわざるをえなくなったもので運動の成果といえます。

 福田首相は志位和夫委員長の代表質問に「生活保護の申請権を侵害しないことはいうまでもなく、侵害していると疑われる行為自体も厳に慎むことが必要だ」(十月四日)と答弁していました。

 厚労省は「漏給の防止」対策として「生活保護の申請があった場合、申請を受けつけ申請権を侵さないこと、辞退届では本人の収入や生活状況など、自立のめどを調査し、一方的な保護打ちきりはしない」ことなどを徹底するとしています。

実効性もたせよ

 厚労省が「漏給の防止」をうちだしたことは、各地で進められている違法な申請拒否、排除をただす運動の力になるものです。生活保護(扶助)の引き下げを見送らせたこととあわせ、国民の声が政治を動かしたものといえます。この対策を実りあるものにし、生活保護を必要とする人にゆきわたるようにするため、実効性のある対策が課題になっています。(矢藤実)



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