2007年12月23日(日)「しんぶん赤旗」

グッドウイル事業停止

複数事業所で違法派遣

厚労省方針 来月にも


 日雇い派遣大手のグッドウィル(本社・東京都港区)に対し、厚生労働省は事業停止命令を出す方針を固めました。親会社のグッドウィル・グループが二十二日、処分の予定について、東京労働局から通知を受けていたことを明らかにしました。


 労働者派遣法で禁止されている港湾運送業務への派遣や二重派遣などが複数の事業所で行われていたことが、厚労省の調査で判明したためとしています。同社の全国七百三十七事業所(千七十五支店)を対象に来月にも処分を出す見通し。

 事業停止命令は、浜松北支店など八十九事業所が四カ月間、その他が二カ月間。これと併せて適正な雇用にするための事業改善命令も出されます。グッドウィルが来年一月八日までに弁明書を提出した後、処分が決定する見込み。

 同グループでは、もう一つの事業の柱だった訪問介護のコムスンも不正行為で行政処分を受け、事業から撤退したばかり。相次ぐ行政処分は、折口雅博同グループ会長はじめ経営陣の重大な責任も問われています。

 グッドウィルは二○○五年六月、建設業務への違法な派遣で東京労働局から事業改善命令を受けたことがあります。今年も、派遣先企業を経由してさらに別の会社に労働者を派遣する違法な二重派遣が横行しているという指摘や告発が相次ぎました。厚労省が調査を進めたところ、複数の事業所で違法な派遣が判明したといいます。

 日雇い派遣をめぐっては今年八月、同じく大手の「フルキャスト」が港湾業務への違法派遣をしたとして、全事業所が最大二カ月の事業停止命令を受けました。また、グッドウィル・グループが買収した旧クリスタルが○六年十月、契約は業務請負でありながら、実際には派遣のように受け入れ先企業の指示の下で働かせる「偽装請負」を繰り返したとして、大阪労働局から事業停止命令を受けました。


解説

労働条件・法の抜本改善を

 厚生労働省のグッドウィルに対する処分方針の通知は、二重派遣などの違法や不正を、勇気をもって告発し是正させていく派遣労働者らの運動の広がりを反映したものです。

 本紙は連載「続ハケン集う駅――追跡グッドウィルの日雇い」(十七日付から三回)などの記事を掲載。同社の日雇い派遣労働者が二重派遣として、トラックの荷台で派遣先に運ばれるなど、その非人間的な労働や生活の実態を告発してきました。

 日本共産党の志位和夫委員長は十月四日の国会の代表質問で日雇い派遣労働者の実態を取り上げ、労働法制の規制緩和路線の根本的見直しや、若者に安定した仕事を保障する規制などを福田康夫首相に求めました。

 党国会議員は質問で、何度も同社の違法行為の是正を迫ってきました(十一月五日、参院行政監視委員会での山下芳生議員の質問など)。党国会議員団は今月十七日、派遣労働者の正社員化や均等待遇を実現するための労働者派遣法の「改正要求」も発表しています。

 今回の処分について、同社の日雇い派遣労働者は「違法をただす処分なら歓迎だが、この処分でグッドウィルの派遣労働者の仕事がなくなるのであれば困る」と話しています。

 厚労省の処分には事業停止命令だけでなく事業改善命令も含まれます。この間、明らかになった交通費の不払いや社会・労働保険の未加入など、同社の日雇い派遣労働者の労働条件改善や雇用確保、派遣法の抜本改正こそ求められています。(今田真人)


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