2007年12月18日(火)「しんぶん赤旗」

主張

兵器価格水増し

軍需産業いいなり姿勢を正せ


 軍事利権をめぐる疑惑追及を契機に、防衛省が購入する兵器の価格があまりにも高いことに国民の批判が高まっています。

 防衛省は、兵器は政府しか買わないので製造コストは割高になるなどといって高価格を正当化しています。しかし、兵器が高いのは、軍事費を聖域にする政府の政策のもとで、軍需企業いいなりに価格を決める政府・防衛省と軍需産業のもちつもたれつの構造にそもそもの原因があります。それを放置したままでは兵器価格の適正化は不可能です。

超高額戦闘ヘリ

 たとえば、二〇〇八年度購入予定のAH64D戦闘ヘリコプターは、一機で二百十六億円もします。〇九年度にも二機調達する予定です。

 機体本体の価格だけでも、同型機を購入するギリシャよりもはるかに高く八十三億円もします。それに、米ボーイング社との契約で軍需企業・富士重工がライセンス生産するために作った設備の経費四百億円をふりわけ、一機ごとに百三十三億円を上乗せするというのです。常識では通用しない発注です。

 防衛省は富士重工から六十二機を買う予定でしたが、ボーイング社が製造を中止したため、購入機数はこれまで購入した十機をふくめ十三機に減りました。富士重工が作った設備費の上乗せは、同社があてにしたもうけをあげられなくなったためです。もうけが減った分を税金で穴埋めするのはまったく筋違いです。投資分を回収できないというなら製造元に請求すべきです。

 問題は軍需企業の言い値をうのみにする政府・防衛省の姿勢です。

 富士重工は、一九九五年に防衛庁(当時)に初等練習機T7一機の価格を五億五千万円と提示しながら、スイスの企業も参加した三年後の入札では半額にして落札したことがあります。九五年の価格の半分が水増しだったということです。「中期防衛力整備計画」で富士重工の言い値をうのみにしたのは間違いです。

 企業の言い値で価格を決めるのはいまも変わりません。十三日の参議院外交防衛委員会で日本共産党の井上哲士議員が示したように、山田洋行の水増し事件をのぞいても、一九八八年から二〇〇四年までに十六社が合計千百四十三億円も不当な水増し請求をおこなっています。軍需企業いいなりでは水増し請求の再発は防げないことを物語っています。

 アメリカの言い値で米軍再編経費を負担するのも重大です。沖縄米海兵隊のグアム移転を口実に、日本が負担する米軍家族住宅三千五百戸の建設費は、総額二十五・五億ドル(約二千八百億円)です。一戸当たり八千万円というのは異常です。

 ところがこれは、「米国の見積もり」(五月二十二日参院外交防衛委員会、安倍晋三首相=当時)をそのまま日米合意にしたものだというのです。日本政府はグアムでの住宅建設費を比較検討もしていません。まさにアメリカいいなりのきわみです。

削減のメスを入れよ

 軍需産業やアメリカのいいなりに防衛政策を進める姿勢を抜本的にあらためることがいよいよ必要です。

 政府は財源がないといって社会保障費も教育費も情け容赦なく削りながら、軍事費を聖域扱いにしてきました。戦争放棄と戦力不保持を決めている憲法に照らせば、ほんらい許されないのが軍事費です。

 海外で戦争するための予算を全廃し、すべての兵器、維持経費を洗い直し、五兆円もの軍事費に削減のメスを入れることが重要です。


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