2007年12月16日(日)「しんぶん赤旗」

治安回復へ努力

宗派超え団結の訴え

イラク


 イラクでは米軍の占領下で米軍の軍事作戦が続くなか、荒廃した国を立て直そうと、国民自身による国民和解と宗派間抗争克服の努力が進展し、治安回復に向けた努力が続けられています。(カイロ=松本眞志)


 二〇〇六年二月に中部サマラで起きたイスラム教シーア派のアスカリ廟(びょう)爆破事件後、宗派間抗争が激化し、国際テロ組織アルカイダ系による暴力、爆弾テロで市民の犠牲、難民・避難民が急増しました。事態を深刻に受けとめたイスラム教スンニ、シーア両派聖職者は今年六月、「イスラム聖職者連合」を設立するなど宗派を超えた共同をすすめ、米軍の占領終結、暴力の停止を呼びかけました。

国民への奉仕を

 十一月には両派指導者が南部の都市ナジャフで千人以上の規模で「第一回スンニ・シーア両派全国会議」を開催し、和解と国民の結束を呼びかけ、新イラクの建設を訴えました。出席したシーア派最高指導者のシスタニ師は、スンニ派教徒の擁護とともに宗派や民族の枠を超えたイラク国民全体への奉仕を聖職者に呼びかけました。同月、イラク人として初めてローマ・カトリック教会の枢機卿に任命されたエマヌエル・デリー三世は、就任後の演説でイラク国民の団結の必要性を強調しました。イラクには人口の3%、六十万―八十万人を数えるキリスト教徒がいます。

 政治的和解プロセスも進展の兆しをみせています。汎アラブ紙アルハヤト十一月十七日付は、国会のイラク国民和解委員会が旧フセイン勢力の囚人の恩赦と指名手配リストの撤廃を発表したと報じました。これらの措置は宗派を超えて歓迎されました。同委員会は国内の武装集団との対話活動を継続し、武器の放棄と政治的和解プロセスへの参加を呼びかけています。

危険状態指摘も

 国民議会内では、米軍のイラク侵攻後に公職から追放された旧バース党員の復帰を認める法律を可決する動きが生まれ、多数の議員から支持されています。タレク・ハシミ副大統領(スンニ派)は、外国軍のイラクからの撤退のためにも国民の和解と結束が必要だとの認識を示しています。

 イラク保健省と国防省は、暴力が原因による一般市民の犠牲者数が九月の八百四十四人から十月の七百五十八人、十一月度には五百三十八人に減少したと報告。イラク赤新月社は十二月初め、今年九月なかば以降二万五千人の避難民が自宅に帰還したとの報告をまとめました。

 しかし、米国の民間調査機関ピュー・リサーチ・センターの十一月の調査報告によると、イラク現地のジャーナリストはイラクの状況を現在でも危険な状態にあると見ています。



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