2007年12月16日(日)「しんぶん赤旗」

シリーズ 命と暮らしの焦点 ―― 日本共産党国会議員に聞く

雇用問題

偽装請負根絶めざす

――最低賃金抜本引き上げ追求

塩川鉄也 衆院議員


 今国会で大きな争点のひとつとなった雇用・最低賃金問題。日本共産党国会議員団の取り組みや論戦について、塩川鉄也衆院議員に聞きました。


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 不安定で低賃金の非正規雇用が増大し、偽装請負など違法な働かせ方が横行しています。

 党議員団は、労働者のたたかいと結んで早くから偽装請負を告発し、社会問題にしてきました。期間の定めのない直接雇用を求めるとともに、労働者派遣法の抜本改正を主張してきました。

 この間、トヨタ系列の光洋シーリングテクノなどで請負労働者の直接雇用が実現し、厚生労働省が偽装請負から派遣への転換は認めない通達を出すなど政治を動かす成果をあげてきました。

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 今国会のなかでも、偽装請負の根絶と正社員化を求める党議員団プロジェクトチームをつくり、日亜化学や光洋シーリング、松下プラズマなど偽装請負とたたかう労働者と懇談し、正社員化への指導などを厚労副大臣に申し入れました。

 労働者は懇談で、「直接雇用の約束を会社がほごにし、無職にされた」(日亜化学)と訴えています。偽装請負を是正するのであれば正社員にすべきです。政府は「必ず長期雇用を申し込む義務がある」(柳沢伯夫前厚労相)と答弁しており、正社員化を指導するよう求めていきたい。

 同時に、そうした不当な雇い止めなどを許さないためにも、労働者派遣法の抜本改正が求められます。派遣は臨時的・一時的業務に限定し、登録型派遣や日雇い派遣は禁止すること、違法派遣があった場合は派遣先が直接雇用したものとみなすこと、均等待遇の実施―などを求めていきます。

 この点では、幅広い労働組合と与野党五党の国会議員が、そろって改正を求める集会を開くなど運動が広がっており、共同を広げて労働者の要求実現のために頑張りたい。

 今国会では、三十九年ぶりの最低賃金法の改正が焦点になりました。

 現行の最低賃金は、生計費もまかなえない低水準のうえ、全国ばらばらで、健康で文化的な最低限度の生活を保障することはできません。

 自民、民主、公明の修正法案には、生活保護水準を下回らないという当然のことが盛り込まれましたが、国民が願う時給千円への大幅引き上げにつながる保障はないものでした。党議員団は、労働者と家族の生計費に基づいて決めること、全国一律の最低賃金にすることなどを盛り込んだ修正案を出してたたかいました。

 先日私は、「官製ワーキングプア」と呼ばれる省庁の非常勤職員の実態を取り上げました。非常勤職員は、常勤職員並みの基幹的業務まで担っているのに、「予算がきついので賃下げしたいといわれた」「まともな理由説明もなく雇い止めされた」など劣悪な状態に置かれています。

 私の質問に増田寛也総務相は「人事院に各省が協力して実態を調査し、結果をもとに必要な対応を検討したい」と答えました。待遇改善に結びつけることが必要です。

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 最低賃金の大幅引き上げのためには、民間労働者の八割が働く中小企業への支援が不可欠です。日本共産党は、最賃法の修正案で、下請けいじめを是正させることや財政面の支援を掲げました。

 トヨタ自動車では「下請け通信簿」をつくり、末端までコストダウンを押しつけています。親企業が単価などを評価し、点数が低いと改善計画を提出させるもので、中小企業の労働条件切り下げや偽装請負など違法行為の要因になっています。

 昨年末、私の質問に甘利明経済産業相は、「法外なコストダウンについては下請け関連法による厳正な対処を要請している」などと答えました。

 政府は、「中小企業底上げ戦略」で、下請け取引の適正化を掲げています。競争力強化の観点からですが、大企業の無法なやり方を放置できなくなっている現れです。

 中小企業にも、労働者の最低賃金と同じように最低単価があってしかるべきです。日本のものづくり産業を守るために、低単価の押し付けをやめさせ、中小企業の労働条件の向上が急務です。

 貧困と格差が拡大するなかで、ナショナルミニマム(最低限度の生活保障)の確立が求められています。その基準となるのが、労働者の最低賃金です。生活保護水準の引き下げを許さないたたかいとも結んで、最低賃金を大幅に引き上げるたたかいを広げていきたいと思います。

 聞き手・深山直人

 写 真・山形将史


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