2007年12月15日(土)「しんぶん赤旗」

EU 新基本条約調印

欧州統合 新たな段階へ


 欧州連合(EU)加盟国二十七カ国首脳らは十三日、ポルトガルの首都リスボンで新基本条約「リスボン条約」に調印しました。加盟国の批准を得て二〇〇九年に発効を目指します。EUは大統領と外相を置く新たな体制に移行し、欧州統合の深化への新段階に入ります。

 現地からの報道によると、調印式で議長国ポルトガルのソクラテス首相は「この条約はわれわれの前の世代が夢見たものであり、未来へのビジョンをもつものだ」と訴え。フランスのサルコジ大統領は「欧州は押しとめられ、前に動くことができなかったが、この条約で解決した」と指摘。EUの執行機関、欧州委員会のバローゾ委員長は「完ぺきなものではないが、東西に分断されていたヨーロッパが初めて共通の条約によって統一された」と語りました。

 新条約では、これまで輪番制のEU議長国に代わり、常任議長として任期二年半の大統領を選出し、欧州委員会の副委員長も兼ねる外交安保上級代表(事実上の外相)がEUとしての外交を統括します。EUの決定方式としては、迅速な決定が可能な多数決制が大部分で採用され、加盟国数による決議と、総人口を基準とする決議という「二重の決定方式」が二〇一七年までに導入されます。

 「リスボン条約」は前身の欧州憲法が〇五年にオランダ、フランスの国民投票で否決され、発効できなくなったことから、全体として欧州憲法の内容を引き継ぐものの、いくつかの点で変更がある新条約としてつくられました。

 EUを巨大な国家とするような構想に反対が強かったため、「リスボン条約」では国歌・国旗などは採用されず、憲法の名称も使用されませんでした。

 EUの市民の権利やストなどの社会権を明記した「欧州基本権憲章」は、英国やポーランドが「自国の法律でスト権制限や家族倫理を定めている」と反対したため、条約本文には盛り込まれず、付属条項で触れられるにとどまりました。


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