2007年11月29日(木)「しんぶん赤旗」

「民営化」解雇

違法性 一部認める

東京高裁判決 保育士復帰認めず


 東京都中野区立保育園に勤務していた非常勤保育士二十八人が、民営化に伴い二〇〇四年三月末をもって解雇され、うち四人が解雇無効による地位確認と賃金と慰謝料の支払いを求めていた控訴審の判決が二十八日、東京高等裁判所(南敏文裁判長)でありました。判決は、原告の訴えを一部認めて総額約七百五十万円の支払いを被告の中野区に命じました。しかし、原告が求めていた原職復帰は認めませんでした。

 南裁判長は、民営化を契機にして雇用を継続しなかったことは解雇権の乱用にあたるとする原告の主張は退けたものの、「解雇権乱用法理を類推適用する程度にまで違法性が強い」としました。

 その上で、被告の中野区が(1)長期の職務従事の継続を期待するような言動を示していたこと(2)職務内容が常勤保育士と変わらず継続性が求められる恒常的な職務であること(3)これまでの職務の継続が十年前後という長期に及んだこと―などから「ふたたび雇用されることを期待するのは無理からぬもので、(解雇は)期待権を侵害した」として損害賠償の支払いを区に命じました。

 判決後に記者会見した原告の女性(49)は「(職場復帰できなかったことは)すごく悔しい。労働組合を結成して七年。裁判を始めて四年。子どもたちと育ちあえる保育園にどうしても戻りたい」とのべました。

原告・弁護団が判決評価の声明

 原告団・弁護団は同日次の声明を発表し、「地方公共団体といえども、解雇権乱用法理に反するような雇い止めをおこなうことは、違法性が強いものであると判断した。このことは高く評価できる」と表明しました。

 同声明は、「損害額を一審の一人四十万円(合計百六十万円)から上乗せして、一年分の報酬相当額(約七百五十万円)としたことは、中野区の本件の雇い止めの違法性の強さを示すものである」として、中野区に対して「判決の内容を重く受け止めて、原告らに原職復帰させるべきである」と求めました。


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