2007年11月20日(火)「しんぶん赤旗」

海面、最大で59センチ上昇

今世紀中 IPCCの統合報告書


 【パリ=山田芳進】スペインのバレンシアで開かれていた国連「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)総会が十七日公表した第四次統合報告書は、「気候システムの温暖化ははっきりしている。世界の平均気温や海水温の上昇、広範囲にわたる雪や氷の融解、世界の海水面の上昇が観測されていることから、今や明白である」との現状認識を示しました。その上で、変化の原因、変化による影響、その解決とコストなどについて、科学的見地からの分析を行っています。

 二十世紀中ごろからの温暖化の原因については、その大部分が「人間の活動による温室効果ガスの集中による可能性が非常に高い」と指摘。世界の温室効果ガス放出量は一九七〇年に比べ70%増加し、二〇〇五年現在の二酸化炭素(CO 2)など温室効果ガスの蓄積は、過去六十五万年分をはるかに超えるものだとしています。

 その影響として、今世紀中に気温は一・一―六・四度、海面は十八―五十九センチ上昇すると予測。「温暖化は急激なもしくは回復不能な影響をもたらす可能性がある」とし、アフリカ、北極地方、小さな島やアジアのデルタ地帯などが大きな影響を受け、また一・五―二・五度の気温上昇で全生物種の20―30%が絶滅し、生物多様性が脅かされると予測しています。

 温室効果ガス排出削減の対策では「国連気候変動枠組み条約と京都議定書の達成が気候変動に対する全地球的な回答を打ち立てるものだ」と評価。そのためにガス放出への規制、課税強化、排出権取引、財政的刺激策など広範囲の政策的選択肢があるとしています。

 最も厳しい予測として、今世紀末の気温上昇を産業革命以前に比べて二―二・四度に抑えるためには、二〇一五年を温室効果ガス排出のピークとし、二〇五〇年までに排出量を50―80%削減(二〇〇〇年比)する必要があるとしています。

 また温暖化防止のためには、二〇五〇年までに全世界の国内総生産(GDP)の最大5・5%(約三百兆円)が必要になるとし、「今後二十―三十年の努力と投資が鍵になる」と指摘しています。



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