2007年11月13日(火)「しんぶん赤旗」

自粛したはずの献金

北海道電力 役員個人がいっせいに

自民と道知事の団体へ


 北海道電力の役員十数人が、二〇〇四年―〇六年の三年間にわたって、自民党の政治資金団体である「国民政治協会」と高橋はるみ北海道知事の資金管理団体「萌春会」に対し、同じ日に、しかも役職によって献金額に一定のランクづけをして献金していたことが十二日、日本共産党道議団と本紙の調べでわかりました。


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(写真)北海道電力本店=12日、札幌市

 公益企業である電力会社やガス会社などは、一九七四年に公益企業の政治献金に対する消費者の批判を受け、企業献金を中止しました。今回の献金は、「個人献金」という形をとっているものの、抜け道的におこなっている企業献金という疑いが濃厚です。

 国民政治協会の政治資金収支報告書によると、北電の役員十五人から、〇四年に計二百二十四万円、〇五年に計二百五十五万円、〇六年に計二百六十八万円の献金を受けています。個人別の献金額は、〇六年の場合、南山英雄会長、近藤龍夫社長が三十万円、副社長二人が二十万円、常務が二十万―十五万円などと、いずれの年も役職によるランク付けがはっきりしています。

 献金の日付は、〇四年は十二月十日が四人、十三日が一人となっていますが、残る十人がそろって二十一日▽〇五年は十二月九日が二人、十四日が一人で、残る十二人が二十日▽〇六年は十五人全員が十二月十八日―となっています。

 一方、「萌春会」の政治資金収支報告書によると、北電の役員十七人から、〇四年、〇五年に各計四十四万円、〇六年は十三人から計三十九万円の献金をもらっています。個人別では、三年分とも、南山会長が十万円、近藤社長が五万円、副社長は三万円、常務は二万円などとなっています。

 日付は、〇四年は三人を除き、十四人が七月二十一日、〇五年は全員が六月七日、〇六年も一人を除いて十二人が六月十二日です。

 政治資金規正法二二条の七は、政治活動に関する寄付について、雇用関係などを利用した「組織的あっせん」を禁止しており、これに違反する可能性もあります。

 政治資金にくわしい上脇博之・神戸学院大教授は、「個人献金の形をとっているが、ランク付けや寄付の日付が同じということは、実質的には、経営陣の意思統一のもとに組織的に行われた可能性がきわめて高い。企業そのものが献金を行っていると受け取れる。また、役職に就く前に献金をしていないとすれば、役職中の献金は規正法に抵触する疑いもある」と話しています。

衣替えした企業献金

 日本共産党の真下紀子道議の話 公益企業は社会性、法的責任だけでなく倫理的責任が求められています。そのため企業献金を自粛してきた北海道電力が個人献金として、わかっただけで三年間、日付を同じくし、組織内の格付けに符合した金額の献金は企業献金の衣替えにすぎない。北電泊原発で事故が連続するなか、高橋知事は献金を受けるべきではない。

 北海道電力の話 当社は企業献金をしていない。(役員の)献金は個人の意思によるものと思う。


 寄付のあっせんに関する制限 政治資金規正法二二条の七の一項は、「何人も、政治活動に関する寄付に係る寄付のあっせんをする場合において、相手方に対し業務、雇用その他の関係又は組織の影響力を利用して威迫する等不当にその意思を拘束するような方法で、当該寄付のあっせんに係る行為をしてはならない」としています。


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