2007年11月6日(火)「しんぶん赤旗」

ブッシュ政権にも責任

パキスタンの事態で米紙


 【ワシントン=鎌塚由美】パキスタンのムシャラフ大統領が三日、憲法を停止する非常事態宣言を出したことで、同政権を対テロ戦争に協力させてきたブッシュ米政権は厳しい事態に陥っています。

 ニューヨーク・タイムズ紙四日付は、パキスタン情勢の分析記事を掲載し、ブッシュ政権には「限られた選択肢」しかなく、「今後の見通しのない」状態だと指摘。今回のムシャラフ大統領の動きは、ブッシュ政権にとっては「悪夢の寸前」であるとも述べています。

 ブッシュ政権は、無血クーデターで政権についたムシャラフ大統領に対し、9・11同時テロ(二〇〇一年)直後に制裁を解除し、総額百億ドルにのぼる軍事援助をしてきました。ブッシュ政権にとっては、「対テロ戦争」の重要なパートナーという位置づけです。

 それだけに、パキスタンが強権的な方向に逆戻りするのは痛手です。ライス国務長官は三日の記者会見で、ムシャラフ氏が非常事態を宣言する前に何度も接触して今回のような事態を回避するよう試みたことを明らかにしています。

 ワシントン・ポスト紙四日付は社説で、「核兵器保有と過激主義者の増幅が最悪の悪夢のシナリオとなりうるパキスタンに、簡単な答えはない」と述べるとともに、「もしブッシュ氏が、ムシャラフ氏の言葉に耳を傾けていたなら、非常事態宣言は回避できたかもしれない」とブッシュ政権の責任を問いました。

 米紙はまた、ブッシュ政権がムシャラフ政権に厳しい非難をしていないと指摘。ライス長官が「非常に遺憾だ」と述べたものの、国務省のマコーマック報道官は「深く困惑している」との控え目な表現に訂正していると紹介(ニューヨーク・タイムズ紙)しました。


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