2007年11月6日(火)「しんぶん赤旗」

証券課税 仏の35%

日本の大資産家 欧米より優遇

大門議員調べ


 証券課税はフランスの約三分の一―。株式譲渡益と配当にかかる税額を軽減する証券優遇税制によって、日本の大資産家が諸外国に比べ格段に優遇されていることが、日本共産党の大門実紀史参院議員の調べで分かりました。大門氏は、上場株式の譲渡益と配当課税の税額を夫婦と子ども二人の世帯について試算し、課税所得別に国際比較しました。これによると、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの各国と比べ、日本の税額が著しく低いことが明らかになりました。

 課税対象となる配当所得が一億円の場合、五カ国の中でフランスが最も高く二千七百九十九万円でした。所得に対する税額の割合は28%でした。アメリカは二千三百八万円(同23%)、イギリスは二千二百七十八万円(同23%)、ドイツは千八百五十九万円(同19%)でした。これに対し税率が10%の日本の配当課税は一千万円にすぎません。

 上場株式譲渡益課税についても、イギリスが三千三百二十四万円(同33%)でした。フランスは二千七百万円(同27%)、アメリカは二千三百八万円(同23%)、ドイツは千八百七十一万円(同19%)でした。日本の場合は九百七十五万円にすぎません。

 日本の税額が一番低い傾向は課税所得が一億円の場合だけでなく、五千万円、十億円、三百億円の階層でも変わりません。

グラフ



「能力に応じ負担」に逆行

大門議員

写真

(写真)大門実紀史議員

 株取引でもうけをあげる日本の富裕層が国際的にも非常に優遇されていることが分かりました。

 税金というのは、本来、負担能力に応じて徴収するというのが、どの国でも原則です。

 しかし、自民・公明政権が進めた証券優遇税制のおかげで、日本では高額所得者の税負担が逆に軽減されるという、応能負担に逆行する現象すら起きています。

 証券優遇税制は、“富めるものがより富む”という方向で、格差拡大を助長しています。応能負担に逆行し、税制にゆがみを生じさせています。

 国会での日本共産党の追及にたいし、これまで歴代の財務相は、軽減税率を廃止する意思を表明してきました。

 答弁を軽視することなく、来年度税制改正で、きっぱりと優遇税制を廃止すべきです。


 証券優遇税制 上場株式等の譲渡益にかかる税率は、二〇〇二年までは、本則26%でした。政府は、これを〇三年から本則20%(国15%、地方5%)に引き下げ、さらに株価対策として、いっそうの証券優遇税制を実施しました。上場株式等の譲渡益にかかる税率は〇七年末まで10%(国7%、地方3%)に半減。また、上場株式等の配当金についても、20%(国15%、地方5%)の税率を〇八年三月末まで10%(国7%、地方3%)に優遇しました。自民・公明政権は、〇七年度税制「改正」で、両優遇措置をそれぞれ一年延長しました。



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