2007年11月1日(木)「しんぶん赤旗」

空自戦闘機が離陸に失敗し炎上

名古屋空港


 三十一日午前九時十分ごろ、愛知県豊山町の県営名古屋空港(自衛隊小牧基地と共用)で、航空自衛隊のF2支援戦闘機が滑走路からそれて離陸に失敗し、炎上しました。同空港の周囲は住宅密集地。事故現場から住宅まで約五百メートルと近いため、住民に衝撃を与えました。


1機120億円のF2

トラブル相次ぐ

解説

 F2は米国から「ニュー・ゼロ・ファイター(新零戦)」と絶賛され、今年六月にはグアム島周辺で米核攻撃機と戦闘・爆撃などの共同訓練を実施するなど日米共同開発の最新鋭戦闘機です。

 自衛隊は今回の墜落が、点検整備中の事故であることから「寄託中の事故」(航空幕僚監部)という態度です。「寄託」は、契約に基づき物品の修理、改造などのため契約の相手方に引き渡すことを指し、原因究明は三菱重工の責任と言わんばかり。

 しかし墜落現場は共同使用の県営空港で、駐機中の民間機と接触、あるいは市内上空での墜落であれば大惨事につながる可能性がありました。

 同機は「国産開発」方針が、米国防総省などの圧力で「日米防衛協力体制の重要性を踏まえる」として「日米共同開発」(一九八七年)に変更されました。

 米軍主力戦闘機の一つ、F16の改造型ですが、開発費も当初見積もりの千六百五十億円に対し、最終的には倍の三千二百七十億円にまで膨張。一機約八十億円の価格設定も一・五倍の百二十億円となり「世界一高価な戦闘機」(当時)と揶揄(やゆ)されました。

 安全性の問題もあります。同機は、初めて主翼に新素材(炭素系複合材)を導入しましたが、強度不足から翼が上下に振動するフラッター現象で最悪の場合、空中分解する危険性も指摘されてきました。(山本眞直)


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