2007年10月16日(火)「しんぶん赤旗」

急成長の矛盾に対応

中国共産党大会が開幕

「環境」「格差」改革訴え

胡総書記報告


 【北京=山田俊英】五年ごとに開かれる中国共産党第十七回大会が十五日、北京の人民大会堂で開幕しました。二千二百人の代議員を前に胡錦濤総書記が中央委員会報告を行い、国民の生活向上に向けて経済や社会の「科学的発展」を強調しました。国際・外交分野では「平和発展の道」を強調し、中国が軍事的脅威にならないと主張しました。

 胡総書記は、前大会以来の五年間、国内総生産(GDP)の年平均伸び率が10%以上になり、国民の収入も増えて、目標である「小康社会」(生活にややゆとりのある経済水準)の全面建設に向けて前進したと評価しました。

 その一方、「われわれの活動はまだ人民の期待にかなうものになっていない」と困難や問題点にも言及しました。資源の浪費や環境汚染、格差拡大とともに、雇用、社会保障、教育、医療、住宅など「大衆の切実な利益にかかわる問題がかなり多い」と指摘。「党の執政能力は新しい情勢の新任務に適応していない」と述べつつ、これらの問題を重視し、解決をはかるよう求めました。

 胡総書記は、科学的発展観は「新たな発展の要請にこたえて提起されたもの」だと指摘し、主要な内容として、人間本位、均衡のとれた持続可能な発展、農村や環境への配慮をあげました。「社会主義の調和社会の構築は、中国の特色ある社会主義事業の全分野での長期の歴史的任務である」と位置付けました。

 経済政策では、「創造革新型国家」の構築、農村の繁栄、省エネなどを優先課題にあげました。

 また、「人民が主人公となることは社会主義の民主政治の本質だ」として、議会にあたる人民代表大会制度の改善を呼びかけ、人口に比例した代表の選出や常務委員会制度の充実を提案しました。

 報告では「民生の改善」に一つの章を割き、教育に対する財政支出の拡大、雇用の創出、低所得者への支援、最低賃金の引き上げを求めました。全国どこでも保障を受けられる統一した社会保障制度も整備することにしました。

 大会の会期は二十一日まで。議題は中央委員会報告のほか、規約改正、中央規律検査委員会報告の審議、決定と新しい中央委員会の選出です。大会閉幕の翌二十二日に開かれる第一回中央委員会総会で政治局など指導部人事が決定されます。

「平和発展」の外交強調

 【北京=山田俊英】中国共産党の胡錦濤総書記は十五日の中央委員会報告で、これまでの「平和発展の外交路線」を確認し、先進国との戦略対話や各国の政党との交流を進めると表明しました。

 国際情勢については「平和を求め、発展を目指し、協力を促進する願いはすでに阻むことのできない時代の流れとなっている」との認識を示しました。その一方、「覇権主義と強権政治は依然として存在している」として、米国の一国覇権主義を暗に批判しました。

 中国外交の基本的立場として、国連憲章と国際法の順守や経済面での相互補完、文化の多様性の尊重を主張しました。「いかなるときでも平和的方式で国際紛争を解決する」ことを強調しました。

 台湾問題では、「一つの中国」原則を前提として「台湾を中国から切り離すことは絶対許されない」と強調。同時に「敵対状態の正式終結について話し合い、平和の合意を達成し、両岸関係の平和的発展の枠組みを構築したい」と述べ、台湾側に対話を呼びかけました。

党内民主主義と理論研究を提起

 【北京=山田俊英】中国共産党の胡錦濤総書記は十五日、改革開放によって党が執政能力の向上を迫られているとして、思想建設、高い資質の党員・幹部の育成、民主集中制の健全化、汚職の根絶が急務になっていると述べました。

 理論分野では、「現代中国のマルクス主義の大衆化を促す」ことや理論研究プロジェクトの推進、若手理論家の育成をあげました。

 「党内民主の建設」では、「党の代表大会制度の充実」を提起しました。いくつかの県で、大会代議員が大会閉会中も活動する「党代表大会常任制」を試行することを明らかにしました。中央政治局が中央委員会総会に定期的に活動を報告するなど、監督を受ける制度を確立することも表明しました。

 汚職根絶は「党が終始取り組まなければならない重要な政治任務」であり、「長期性、複雑性、困難さ」を認識するよう訴えました。


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