2007年10月13日(土)「しんぶん赤旗」

やっぱり米戦争支援 記録は語る

海自の給油

「警察活動」というが


 海上自衛隊がインド洋周辺海域で実施している外国艦船への給油活動について政府は、“テロリスト、資金、武器、麻薬などを海上で取り締まる警察活動のような海上阻止活動(MIO)であって、米国の戦争への支援ではない”と躍起になって宣伝しています。このような活動は国連海洋法条約で認められており、それへの給油支援は「安保理決議の有無にかかわらず許され、各国の判断だけで可能」だとの主張も出ています(小寺彰東大教授、「日経」九日付)。しかし、それらは、現実から大きくかけ離れた議論です。

 海自の給油相手の八割は米軍艦船です。その米軍が実際に何をしているかは、本紙十一日付で紹介した強襲揚陸艦イオウジマの行動を見ても明らかです。

 同艦を旗艦とする遠征打撃群は昨年六月から半年間、中東などに作戦行動に出ました。その間に実際に行ったことは、イスラエルのレバノン攻撃での米国人救出、艦載機によるアフガニスタン空爆(「不朽の自由作戦」の一部)、イラク戦争(「イラクの自由作戦」)への参加です。

ほかにも事例

 米国防総省の「ディフェンド・アメリカ・ニュース」昨年十二月八日付も認めるように、「『不朽の自由(作戦)』と『イラクの自由(作戦)』への直接支援」が中心任務でした。

 イオウジマの行動は決して例外ではありません。海自が給油した米艦船がイラク戦争にも参加していた事例は、ほかにいくつもあります(本紙九月三十日付参照)。「海上自衛隊の給油活動の対象は…武力行使に従事する外国軍艦ではない」(小寺論評)という見方は、何ら事実に基づかないものです。

 政府は、給油後の外国艦船の活動内容について「その詳細を承知する立場にない」としています(二日付答弁書)。しかしイオウジマの行動の概要は、米軍が公表する資料で容易に知ることができます。給油対象をアフガン作戦参加艦船に限定する現行テロ特措法に照らしても、政府は給油活動の実態を点検し、脱法行為は直ちに中止する義務があります。

用語すり替え

 米軍などは最近、MIOではなくMSO(海上安全活動)という極めて広義の用語を使っています。それによれば、イオウジマ遠征打撃群の昨年後半の行動全体が「MSO支援」活動となります。こうなれば、海軍部隊の活動のほとんどすべてがMSOに含まれることになります。MIOがMSOにすり替えられ、海自の米戦争支援が正当化されることがないよう、警戒が必要です。(坂口 明)



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