2007年10月12日(金)「しんぶん赤旗」
米国、働けど医療・住宅貧しく
低賃金労働者4100万人
政府の支援不十分
研究機関調査
【ワシントン=鎌塚由美】米国では約四千百万人の労働者が低賃金で働く一方、政府からの支援が十分受けられない状況に置かれていることが明らかになりました。
ワシントンのシンクタンク「経済・政策研究センター」(CEPR)とマサチューセッツ大学社会政策センターが十日に発表した調査結果は、労働者が「生活に必要なもの」として保障されるべき医療保険や住宅供給で、政府の支援制度が不十分であることを指摘しました。
これは十州で行われた調査をとりまとめたもので、CEPRのヘザー・ボウシー上級エコノミストは、「労働者の収入と最低限の生活水準の間の橋渡し」のため、公的支援制度拡充の必要性を強調しました。
報告はまず、「労働市場において、四分の一に近い雇用主が低賃金を支払い、手当を提供していない」と指摘。四千万人を超える労働者とその家族にとっては「仕事を得ることができれば(医療保険や住宅での)めどが立つ」という前提が当てはまらない事態が生まれていると指摘しました。
報告は、これらの労働者が置かれている困難の原因は、「失業」ではなく「むしろ不十分な労働時間、低賃金、不十分な労働者への支援」から来ていると述べています。
これらの労働者は、メディケイド(低所得者と障害者を対象にした医療扶助制度)やフードスタンプ(生活保護者への支給)といった政府の公的支援を受けるには収入が高い一方、雇用主が提供する医療保険では基本的に必要な分野が十分カバーされていないと分析しています。
報告は、これら労働者の置かれている困難の解消には、▽よりよい賃金▽雇用主に労働者への医療給付などを義務付ける▽公的な援助の充実―に「重点的に取り組む必要がある」と提言。なかでも、労働者への公的な支援は「重要な役割を果たす」と強調し、政府の支援は「必要としているすべての家族に手を伸ばす必要がある」と述べました。

