2007年10月4日(木)「しんぶん赤旗」

「年内に核無力化」盛る

6カ国協議が合意文書

北朝鮮 核計画を「完全申告」

非核化へ重要な一歩


 【北京=山田俊英】北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の議長、武大偉・中国外務次官は三日、先に北京で行われた協議での合意文書を発表しました。北朝鮮の三つの核施設の無能力化と核計画の申告を十二月三十一日までに行うことなど、同国の核放棄に向けた「次の段階」措置が具体化されています。無能力化の準備作業のため、二週間以内に米国が主導する専門家グループを北朝鮮に派遣します。履行されれば、朝鮮半島の非核化に向けた重要な一歩を踏み出すことになります。


 文書は「共同声明の実施のための第二段階の措置」という題名。二〇〇五年九月の六カ国協議共同声明を履行するための合意文書です。中国がまとめ、各国が持ち帰って検討していましたが、全参加国の承認が得られたとして発表しました。

 年内無能力化の対象となるのは、寧辺の実験用黒鉛減速炉など三施設。作業は米国が主導し、「当初の費用」も米国が提供します。

 申告については、北朝鮮は「すべての核計画の完全かつ正確な申告に合意した」としています。北朝鮮が否定しているウラン濃縮疑惑については直接触れていません。

 北朝鮮が「核物質、技術、ノウハウを移転しない」ことも取り決めました。

 北朝鮮が求めていた米国によるテロ支援国家の指定解除については「米国は米朝国交正常化作業部会の合意を基礎に、北朝鮮の行動と並行して約束を履行する」と明記しました。解除の期限は示しませんでした。

 見返りとして重油百万トン相当の経済、エネルギー、人道支援を供与することも盛り込み、方法については作業部会で決めることになりました。

 六カ国外相会議の開催については「適切な時期」に北京で開催することを決めました。

 日朝関係については、過去の清算と「懸案事項の解決」を基礎に早期に国交を正常化するために努力するとしています。


6カ国協議

採択した合意文書

 「共同声明の実施のための第二段階の措置」と題した合意文書の内容は次の通り。

 六カ国は、五つの作業部会による報告を聴取し、支持するとともに、二月十三日の成果文書に記された初期段階の措置の実施を確認し、作業部会の会合におけるコンセンサスに従って六カ国協議のプロセスを前進させることで一致するとともに、平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化を目標とする二〇〇五年九月十九日の共同声明の実施のための第二段階の措置について合意した。

Ⅰ.朝鮮半島の非核化について

 1、朝鮮民主主義人民共和国は、二〇〇五年九月の共同声明および二〇〇七年二月十三日の成果文書の下で放棄される対象となるすべての既存の核施設を無能力化することに合意した。

 二〇〇七年十二月三十一日までに寧辺の五メガワット実験炉、寧辺の再処理工場(放射化学研究所)および寧辺の核燃料棒製造施設の無能力化は完了される。専門家グループによって推薦される具体的な方法は、六カ国すべてが受け入れ可能であり、科学的、安全、検証可能かつ国際基準と整合的であるという原則に沿って、首席代表により採択される。他の五カ国の要請により、アメリカ合衆国は、無能力化の活動を主導し、それらの活動のための当初の費用を提供する。その第一歩として、アメリカ合衆国は無能力化を準備するため今後二週間以内に訪朝する専門家グループを主導する。

 2、朝鮮民主主義人民共和国は、二〇〇七年十二月三十一日までに、二月十三日の成果文書に従って、すべての核計画の完全かつ正確な申告を行うことに合意した。

 3、朝鮮民主主義人民共和国は、核物質、技術及びノウハウを移転しないとの約束を再確認した。

Ⅱ.関係者の間での国交の正常化について

 1、朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は、二国間の関係を改善し、完全な外交関係を目指すことを引き続き約束した。双方は、二国間の交流を増加し、相互の信頼を強化する。アメリカ合衆国は、朝鮮民主主義人民共和国のテロ支援国家指定を解除する作業を開始し、朝鮮民主主義人民共和国に対する対敵通商法の適用を終了する作業を進めることについてのコミットメントを想起しつつ、米朝国交正常化のための作業部会の会合におけるコンセンサスを基礎として朝鮮民主主義人民共和国がとる行動と並行してコミットメントを履行する。

 2、朝鮮民主主義人民共和国と日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として早期に国交を正常化するため、誠実に努力する。朝鮮民主主義人民共和国と日本国は、そのために、両国間の精力的な協議を通じ、具体的な行動を実施していくことを約束した。

Ⅲ.朝鮮民主主義人民共和国に対する経済及びエネルギー支援について

 二〇〇七年二月十三日の成果文書に従い、朝鮮民主主義人民共和国に対し、百万トンの重油(既に供給された十万トンを含む)に相当する規模を限度とする経済、エネルギー及び人道支援が提供される。具体的な態様については、経済及びエネルギー協力のための作業部会における議論を通じて決定される。

Ⅳ.六カ国閣僚会合について

 六カ国は、適切な時期に、六カ国閣僚会合を北京において開催することを改めて表明した。

 六カ国は、六カ国閣僚会合に先立ち、同会合の議題について議論するため、首席級代表者会合を開催することで一致した。



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