2007年9月27日(木)「しんぶん赤旗」

米大統領演説に批判続出

国連総会一般討論

人権問題利用に警鐘


 【ニューヨーク=鎌塚由美】二十四日始まった国連総会の一般討論演説で、米国のブッシュ大統領は、人権状況などを理由に一部の国を名指しで非難しました。これに対し、米国がイラク侵略など自らの人権侵害に口をつぐんでいることや、単独行動主義を批判する声が各国首脳から上がりました。

 ブッシュ大統領は、演説のなかでミャンマーの軍政を批判しながら、米国として軍政当局への経済制裁の強化策を打ち出したことをあげました。さらに、関係者へのビザ発給の停止拡大も予定しているとし、国連および各国に「自由を求めるミャンマーの人々を支援する外交、経済的なてこ入れを」と表明しました。

 ブッシュ大統領が今年の演説テーマに選んだのは、人権問題。国連の任務は「専制政治と暴力から人々を解放」することだと述べ、現在も「独裁者のもとで苦しんでいる人々のために、文明諸国は立ち上がる責任がある」などと主張しました。

 ベラルーシ、北朝鮮、シリア、イランを名指しして、「(これらの)残虐な政権は国民の基本的権利を否定している」と批判しました。

 キューバ、ジンバブエ、スーダンも批判し、キューバでは「冷酷な独裁者の長い支配は終わりに近づいている」などと発言しました。キューバの代表は、この発言を受け総会場から退席しました。

 このブッシュ演説に対して各国代表が批判を込めて演説しました。

 ニカラグアのオルテガ大統領は「キューバへの尊敬を完全に欠くものだ」と指摘。イラク戦争については米国の「ウソのキャンペーンで侵略」したことを厳しく批判しました。

 国連人権理事会の創設メンバーとして発言したスリランカのラジャパクサ大統領は、一部の国を批判するために人権問題が「政治的利用の道具」にされることに警鐘を鳴らしました。「国際人権基準を守るよう法的順守を促す国際行動では、公正であることが肝要だ」と強調しました。

 アンゴラのドスサントス大統領は、米国の対キューバ制裁措置の解除を求める決議案が国連総会で毎年、多数で支持されていることに言及。キューバへの「経済、貿易、金融禁止措置」の終結は「必須だ」と指摘。キューバ制裁に固執する米国の姿勢は「国際法と国連憲章の原則を侵している」と述べました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp