2007年9月26日(水)「しんぶん赤旗」

最低賃金の引き上げ 各政党の政策・態度は?


 〈問い〉 貧困問題、特にワーキングプアの解決のためには、最低賃金の大幅引き上げが急務だと思います。この最低賃金の引き上げについて、各政党がどういう政策・態度をとっているのか、教えてください。(神奈川・一読者)

 〈答え〉 日本共産党は、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)ができる水準に最低賃金を引き上げるのは国の責任であると考えています。労働組合が一致して求める時給1000円以上を当面の目標に、抜本的に引き上げるよう主張しています。また、どこで働きどんな職業に就いていても、公務と民間のすべての労働者に適用される全国一律最低賃金制の確立を求めています。さらに、生計費(生活できる賃金)を最低賃金の決定基準とし、現行法にある企業の「賃金支払い能力」を削除します。これがあるために、わが国の最低賃金が「先進国」で最低の水準になっているからです。中小零細企業が最低賃金を支払えるように、大企業の下請けいじめや規制緩和による過当競争を規制するとともに、助成措置を講じることを提案しています。

 自民・公明の与党は、抜本引き上げについて、「中小企業の経営を圧迫する」(安倍前首相)として、拒否しています。企業の「賃金支払い能力」基準をそのままにして、都道府県ごとにバラバラに決める仕組みを維持する立場です。産業別最低賃金については、罰則をなくし、廃止の方向に大きく舵(かじ)をきりました。公務員を適用除外にしています。

 民主党は、全国最低賃金として800円、その上に積み上げる地域最低賃金として平均1000円をめざしています。労働者の要求を一定反映した提案となっています。ただ、現行制度でも最高の東京(739円)と最低の秋田、沖縄(618円)との格差は121円ですが、民主党案は200円以上の大幅な格差を認める提案となっています。貧困と格差をなくすという最低賃金制の本来の役割が損なわれる危険があります。また、当面3年間は企業の「賃金支払い能力」基準を認めるとしています。18歳以下の若者と70歳以上の高齢者について、最低賃金を減額するという新たな措置も盛り込んでいます。公務員を適用除外にしています。

 世界をみると、国際労働機関(ILO)がデータを公表している101カ国のうち、62%の国が「生計費」あるいは「労働者とその家族の必要」を基準に定めています。日本のように、企業の「賃金支払い能力」を定める国は、わずかに15カ国。地域別にバラバラに最低賃金を決めている国は、9カ国しかありません。またILOは、年齢によって最低賃金に格差を設けることを批判しています。日本共産党は、この世界の流れに沿った最低賃金制を提案しています。(筒)

 〔2007・9・26(水)〕


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