2007年9月23日(日)「しんぶん赤旗」

ルイジアナ州で 6万人デモ

黒人生徒への差別裁判に抗議

根深い米の人種差別


 米南部ルイジアナ州の人口三千五百人の小さな町ジーナで二十日、四万から六万人という人がデモ行進しました。同町の高校で白人生徒に暴力を振るったとして六人の黒人生徒が有罪となったことに対し、六人が裁判で差別的な扱いを受けたとして抗議するものでした。事件の根底には今も根強い人種差別が横たわっています。(ワシントン=山崎伸治)


地図

 暴力事件の遠因となったのは昨年夏、一人の黒人生徒が高校内にある木の下に座らせてくれるかと、白人生徒に尋ねたことでした。その場所は暗黙のうちに「白人専用」とされていたところ。翌日、三人の白人生徒がその木に首つり用に輪をつくった縄をつるしました。かつて黒人を木に縄でつるしてリンチしたことを想起させるもので、人種差別にもとづく犯罪(ヘイトクライム)でした。

 黒人生徒はこれに抗議。しかし同地域を担当する地方検事は黒人生徒たちを脅して、事件として取り上げようとしませんでした。

 これをきっかけに校内で白人生徒と黒人生徒との対立が深まり、昨年十二月、ついに暴力事件に発展。ところが同じ地方検事は、黒人生徒を逮捕したのに、きっかけをつくった白人生徒のヘイトクライムは不問に付しました。しかも裁判所での審理は白人の判事が担当し、すべて白人の陪審員が有罪の評決を下しました。

 一連の経過は、あたかも一昔前の人種差別事件を思わせます。それを裏付けるかのように、今回の抗議デモは、人種差別撤廃を訴えた一九六〇年代の公民権運動の時代以来、最大の規模となりました。

 黒人人権活動家のアル・シャープトン師は二十日のデモで「アトランタ(ジョージア州)にもジーナはある。ニューヨークにもジーナはある。フロリダにもジーナはある。テキサスじゅうにジーナはある」と訴えました。連帯を表明するデモがワシントンやデトロイト、フィラデルフィアなどでもありました。

 公民権運動によって法律のうえでは克服された人種差別が、その後も社会にその根を残し、二十一世紀にも、機会があれば頭をもたげる―単に「ディープ・サウス」と呼ばれるこの地域だけではなく、米国社会全体にその病理が広がっているところに、問題の深刻さがあります。


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