2007年9月18日(火)「しんぶん赤旗」

イラク戦争関与の英政府・軍要人

米の「対テロ戦争」批判

「空母より学校を」「あまりに軍事優先」


 【ロンドン=岡崎衆史】ブッシュ米政権の「対テロ戦争」に代表される軍事偏重のテロ対策やイラク政策について、イラク戦争・占領に深くかかわった英国の政府・軍要人が批判の声を挙げています。

 デービッド・マニング駐米英国大使は十四日付タイムズ紙のインタビューで、現在の外交の優先事項を重視しながらも、「そこを乗り越えて進まなければならない」と述べ、軍事のみに依存しない「新しい外交」を提唱。とくに、「空母のための資金で、どれだけ学校が建設できるだろうか」「イスラム過激派を懸念するのならば、マドラサ(イスラム神学校)の影響拡大を防ぐための学校をつくる人物を支援する道を見つけられないのか」と述べ、テロや過激派対策で、教育など軍事以外の分野を重視するよう訴えました。

 マニング氏はまた、英国の外交が米国の「こだま」とみられないようにすべきだと述べ、ブレア前政権時代の英国の著しい対米追随外交に苦言を呈しました。

 来月退職予定のマニング氏は、イラク戦争開始の二〇〇三年三月を挟む〇一年から〇三年九月までブレア英首相(当時)の外交政策顧問を務め、駐米英国大使に転身。ブレア政権下の英国の対米外交を支えてきました。

 マイク・ジャクソン元英陸軍参謀長(退役大将)は十日発売の自著『兵士(ソルジャー)』で、「対テロ戦争」に関連し、「米国の対応は不十分である。あまりにも、軍事的手段にだけ焦点を当てている。国家建設や外交は、政治経済上の前進を示す上で極めて重要だ」と指摘しました。同氏は、イラク戦争直前の〇三年二月から〇六年八月まで英陸軍軍人のトップである参謀長を務めました。

 米国防総省が設置したイラク占領機関・復興人道支援室(ORHA)で副責任者を務めたティム・クロス氏(英陸軍退役少将)は、二日付サンデー・ミラー紙のインタビューで米国のイラク復興政策について言及。「米国の戦後計画が重大な欠陥をもっていたのは、今では明らかだ。私たちの多くは当時(イラク戦争開始直後)すでにそう感じていた」と述べ、多くの関係者の懸念を無視して進められた米国の無計画なイラク政策を批判しました。



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