2007年9月17日(月)「しんぶん赤旗」

主張

敬老の日

誇り持ち生きられる社会を


 きょうは敬老の日です。多くの経験を積み、長年にわたって社会に貢献してきた高齢者を敬い、大切にし、長寿を祝うという敬老の日は、日本特有の祝日といわれています。厚生労働省が発表した百歳以上の高齢者は三万二千二百九十五人で、前年を三千九百人上回る過去最多を記録しました。敬老の日を機に高齢者がより安心し、希望と誇りをもって人生を送れる社会となるよう、いっそう努力していきたいものです。

高齢者にむごい政治

 自民・公明の連立政権のもとで、「お年寄りいじめ」のむごい政治は強まるばかりです。年金などの収入は増えないのに医療や年金の制度改悪や住民税・所得税の大増税が直撃し、連動して国民健康保険料(税)や介護保険料が値上げされ、ただでさえ苦しい高齢者の生活と健康を圧迫しています。

 とくに来年二〇〇八年四月から施行が予定されている「後期高齢者医療制度」は、痛みをいっそう押し付けるものです。この医療制度は小泉自・公政権が昨年六月に強行した「健康保険法等の一部を改正する法律」によるもので、千三百万人が対象となる後期高齢者=七十五歳以上の人を他の世代と切り離し、これまで加入していた国民健康保険や政管健康保険から脱退させて組み入れる新しい独立した保険です。保険料は家族に扶養されている人も含めてすべての後期高齢者から徴収されます。

 年金額が月額一万五千円以上の人は介護保険と同じく年金から天引きされます。これに乗じて六十五―七十四歳の前期高齢者の国保料も天引きとなります。事実上の強制徴収です。年金額が一万五千円に満たない人は窓口納付ですが、保険料を払えない人には保険証の取り上げを可能にしたことは重大です。代わりに発行される「資格証明書」では、医療費の全額をいったん病院窓口で払わねばなりません。

 保険料すら用意できない人への医療費の全額負担は過酷であり、患者の重症化や医療の排除、病院からの追い出しにつながります。サラ金まがいの取り立てや「医療難民」「介護難民」を生む事態は避けなければなりません。

 この保険制度の導入には、運営にあたる都道府県単位で構成する「後期高齢者医療広域連合」も不安の声をあげています。十二日には首都圏の東京、神奈川、埼玉、千葉の広域連合が厚生労働大臣にたいし、「広域連合のみならず区市町村においても大きな不安を抱いている」と指摘し、国庫負担の増額などを要請しています。都広域連合の試算によると、平均保険料は最高で年額十五万五千円、最低でも九万六千円にのぼります。

 自・公政権は来年度も社会保障予算を抑制する「構造改革」路線を続け、医療・介護・年金・生活保護などあらゆる分野で貧困に追いうちをかける政治をすすめようとしています。人間が人間として尊重されない「棄民政策」を許してはなりません。

凍結して見直しを

 貧困と格差、生きづらさは世代を超えて広がっています。日本共産党は国民の生存権を守るために悪政の暴走に正面から立ち向かいます。まず参院選で公約した「緊急福祉1兆円プラン」の実現へ、新しい国会の力関係のもとで全力をあげます。

 「後期高齢者医療制度」については実施を凍結し、制度の全面的な見直しを求めます。人生の先達が人間らしく、そして誇りと尊厳をもって「長生きしてよかった」といえる社会を求めて力をつくします。


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