2007年9月6日(木)「しんぶん赤旗」

三洋扇風機の発煙・発火

コンデンサーに主因

NITEが分析


 三洋電機製扇風機による発煙・発火事故は、多くがコンデンサー(蓄電器)の不具合によっておこっていることが、経済産業省所管の独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の事故原因分析から明らかになりました。

 同機構は一九九六年以降に発生した三洋電機製扇風機による事故、十一件について発生原因の分析をおこなっています。それによると、九件がコンデンサーの絶縁劣化などによって事故がひきおこされています。

 同機構の「事故情報詳細」では「コンデンサー素子が絶縁劣化して短絡、発火した可能性が高い」(〇六年七月三十日発生の事故)、「コンデンサーが絶縁劣化して短絡・スパークし、コンデンサー内部の充填(じゅうてん)剤や本体に堆積(たいせき)したほこり・ちり等に着火…と推定」(〇六年七月二十八日発生の事故)などと指摘しています。コンデンサーのほかの原因ではモーターの不具合があげられています。

 これとは別に先月二十日、東京都内で発生した火災で夫婦二人が死亡した事故もコンデンサーの絶縁不良でした。

 三洋電機は八六年から、消費者を対象に扇風機の安全点検や使用の注意など啓発をおこなってきたといいます。しかし、消費者がメーカーの指示どおり使用前点検、手入れ、保管をきちんとおこなっても、コンデンサーやモーターが安全かどうかを知るのは困難です。

 同機構は、事故原因を分析した十一件の扇風機事故すべてについて「製品に起因する事故」に分類。「誤使用」「不注意」など消費者の責任ではないことを明確にしています。

 改正消費生活用製品安全法が施行された五月以降、経産省が公表する重大製品事故の速報情報によれば、扇風機事故は十七件(九月五日現在)報告されています。うち十一件(このなかの十件が三洋電機製)は「製品起因が疑われる事故」とされ、メーカー名や機種・型式名が公表されています。

 頻発する発煙・発火事故を防ぐためには、製造メーカーが事故がなぜおきているのか、原因もすべて明らかにして対策をとることが求められています。

製品評価技術基盤機構が分析した三洋電機の扇風機事故
(同機構の事故情報資料から)

事故発生日 型式 製品使
用期間
事故原因
06.7.30 EF−6EZ 約35年 長期使用によりコンデンサー素子が絶縁劣化
06.7.28 EF−6DZ 約37年 長期使用によりコンデンサーが絶縁劣化など
06.7.14 EF−6YA 約38年
05.6.26 EF−6EZ 約35年 長期使用によりモーターの回転に支障、過熱して絶縁破壊
04.8.6 EF−6HJ 約30年 長年使用によりモーターの起動不良、絶縁劣化など
04.7.19 EF−6DZ 約35年 長期使用によりコンデンサーが絶縁劣化
04.7.9 EF−6DA 約35年 コンデンサー内部配線など電気部品の経年劣化
02.8.14 EF−8EF 約32年 長期使用によりコンデンサーが絶縁劣化し短絡
01.7.4 EF−6NZY 約33年 長期間の使用によりコンデンサーが絶縁劣化
00.9.17 EF−6ZN 約30年
1996.7.19 EF−6YA 約28年 ペーパーコンデンサーが長期の使用で絶縁劣化し発火

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