2007年9月5日(水)「しんぶん赤旗」

扇風機不良 70年代に認識

三洋電機

設計変更知らせず

本紙調査 使用続けさせた責任重大


 三洋電機製扇風機による発煙・発火事故が続出している問題で、同社は一九七〇年代前半に製品の問題点を把握し、それ以後の製品では火災原因になっているコンデンサーなどの設計変更をしていたことが本紙の調べで四日、明らかになりました。


 先月二十日に東京都内で発生した火災で二人が死亡した事故は、三十七年前に三洋電機が製造した扇風機のコンデンサーの絶縁不良が原因です。事故から五日後、初めて同社は、三十年以上前の扇風機の使用中止を呼びかけました。しかし同社は七〇年代には問題点を把握していました。「七〇年代前半、コンデンサーやモーター、電気コード、首振り部分などすべての面で、経年劣化に対して、より安全性を追求するための設計変更をした」(同社経営広報部)といいます。

 同社は、一九八六年から、消費者を対象に扇風機の安全点検や使用の注意など啓発を行ってきたといいます。業界団体の日本電機工業会も翌年から同様の措置をとっています。しかし、いずれもコンデンサーなどを設計変更したことにはふれていません。

 三洋電機の発表によると二〇〇〇年以降に二十四件の扇風機の火災事故が発生しています。同社経営広報部は、「二〇〇〇年以降に発生した事故をみると、すべてが三十年以上前の機種に集中している」といい、設計変更前の製品で事故が多発していることを認めています。

 家電各社の旧型扇風機も多くが三洋と同様の構造で、松下電器産業の子会社製やシャープ製でも発火・発煙事故が発生しています。各社も対策を講じ、三洋の設計変更の内容が「八〇年代に業界全体の基準になった」(同)といいます。

 製品の安全にかかわる部分での設計変更について、なぜ消費者に周知徹底しないまま使用を続けさせたのか。メーカー、業界団体の責任は重大です。製品の安全確保のためにメーカー・業界を指導する国の責任も問われます。


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