2007年9月2日(日)「しんぶん赤旗」

遠藤農水相 トップの組合

国補助金を不正受給

検査院指摘後も返還せず


 遠藤武彦農水相が組合長理事をつとめる「置賜(おきたま)農業共済組合」(山形県米沢市)が、天災などの被害を補償する農業共済をめぐり、加入者の水増しなどで共済掛け金百十五万円を国から不正に受給していたことが一日、分かりました。農水省の最高責任者が、同省の補助金を不正に受け取っていた組織のトップだったわけで、責任は免れません。


 同組合関係者などによると、補助金の不正受給が明らかになったのは一九九九年産ブドウの被害を補償する農業共済。同組合は、二百六十一戸の加入手続きをとりましたが、このうち百五戸は、未加入の農家の名前を勝手に使うなどの方法で水増ししていたといいます。

 共済掛け金は、国と加入農家が折半する仕組みです。これによって、同組合は国の負担分百十五万円の補助金を不正に受け取っていました。

 不正受給は二〇〇四年六月、会計検査院が実施した検査で発覚。今年五月、不正受給分の補助金が返還されていないことから、再度、山形県に指摘したといいます。

 同農水相は一日、「当時の課長二人がやったことで自分の指示ではない」などとして、大臣辞任の意向がないと表明しました。しかし、同組合関係者は本紙の取材に、「遠藤農水相は、組合から報酬をもらい、人事権を持つ名実ともにトップ。水増し不正受給は十年以上前から行われており、二人の課長だけの問題でない」と証言。長年にわたって組織的に行われていた疑いも浮上しています。

私物化疑惑も

 さらに、組合関係者の間では遠藤農水相の「組合私物化」を指摘する声もあがっています。

 同組合関係者によると、組合が購入した公用車を、秘書らが遠藤農水相を乗せて使い回し、事実上私物化。「組合公用車は組合事務所ではなく、普段からほとんど遠藤事務所に置いてあった」といいます。

 同組合公用車は、二〇〇三年に山形市内で開かれた政治資金パーティーの来賓として訪れた古賀誠元自民党幹事長の送迎のために遠藤事務所が使用。政治活動目的で使われたことが問題となったこともあります。

 遠藤農水相は一九八二年十二月から同組合の組合長を務め、年間約二百四十万円の報酬を得ていました。一日の会見で、組合の役職を辞任する意向を表明しています。


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