2007年8月31日(金)「しんぶん赤旗」

無保険者4700万人

過去最多 中産階級にも広がる

米国


 【ワシントン=山崎伸治】米商務省国勢調査局が二十八日公表した米国民の二〇〇六年の所得と貧困、医療保険に関する統計によると、医療保険に加入していない「無保険者」が実数、率とも過去最高となったことがわかりました。

 それによると〇六年の無保険者は四千六百九十九万五千人で、〇五年の四千四百八十一万五千人から二百万人以上増加。全人口に対する割合も15・3%から15・8%に増えました。

 十八歳未満の子どもでは、無保険者は八百五万人から八百六十六万一千人に増加。割合も10・9%から11・7%に増えています。

 また雇用先が提供する医療保険に加入している人が減っていることもわかりました。〇五年には全体の60・2%だったのが、〇六年には59・7%に減少しています。近年、労働協約の改定交渉で医療保険を保障するかどうかが大きな問題となっていますが、経営側がコスト削減を狙って医療保険を後退させていることの反映です。

 さらに所得層でみると、無保険者の割合が一番増えているのは、年収五万ドル以上七万五千ドル未満で、〇五年から〇六年に1・2%増となっています。これについて、二十九日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「無保険者の問題が中産階級や勤労者に広がっている」との専門家の分析を紹介しています。

 ブッシュ大統領は二十八日、統計の公表にあたっての声明で「無保険者の数を減らすことが引き続き課題となっている」と認めました。ただその解決には、民間の医療保険の購入を促すため、税制面での優遇措置などの施策の充実を図るべきだと強調。国民皆保険制度の導入には背を向けたままです。

 一方、〇六年の貧困層人口は前年に比べわずかに減少。実数で四十九万人、率にして0・3%減の三千六百九十五万人となっています。


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