2007年8月30日(木)「しんぶん赤旗」

受け入れなしの悲劇再び

奈良 昨夏は妊婦死亡


 二十九日、奈良県橿原市の妊婦(38)を乗せた救急車が受け入れ病院を探すのに一時間半もかかり、大阪市高槻市内の病院に搬送中に妊婦が流産した問題は、改めて奈良県の産科医療の問題点を浮き彫りにしました。


地図

 奈良県では昨年八月、分娩(ぶんべん)中に意識不明となった女性=当時(32)=が大阪府内の病院に転送されるまで十九の医療機関から受け入れを断られ、亡くなるという痛ましい事態が起き、産科医療の態勢が問題になりました。

 流産した女性を搬送した中和広域消防組合(橿原市)は「今回の対応に問題はなかったが、医療機関の充実を望みたい」としています。

 奈良県は、日本産科婦人科学会の調査によると、医師一人が一年間に扱う分娩数は平均百六十三人で、全国で六番目に多くなっています。

 ところが、二十四時間体制で、リスクの高い妊産婦や新生児に対する高度な医療を行うことができる総合周産期母子医療センターがない全国八県の一つで、国の医療抑制策を忠実に実行してきました。

 日本共産党は、県議会で繰り返し、同医療センターの開設を求めるなどしています。


受け入れ拒否
48回の事例も

 議会で医療問題をたびたび取り上げるなど産婦人科問題の解決に尽力してきた日本共産党奈良県議団の今井光子幹事長の話 搬送先として打診した9つの病院は県外の大阪のものでした。このことは救急医療ネットワークが機能しなかったということで大変残念です。救急隊員によると、8月だけでも、48回受け入れ拒否された事例をはじめ30回、24回などと何件も起こっています。とくに夜間、精神科、アルコール、頭部打撲、妊娠患者の受け入れが難しいようです。医師不足は産婦人科だけの問題ではありません。一刻も早い救急医療体制の構築が急務です。


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