2007年8月28日(火)「しんぶん赤旗」

内閣改造・自民党役員人事

「構造改革」推進・侵略戦争正当化

どこが「人心一新」なのか


 安倍晋三首相が二十七日に行った内閣改造・自民党役員人事は、七月の参院選惨敗を受けて「反省すべき点は反省をしながら、人心を一新せよというのが国民の声だ」という首相の身勝手な解釈が出発点でした。自らは「人心一新」に含めず早々と続投を宣言し国民に「反省」を口にしました。さぞ参院選の民意を踏まえた布陣が示されるのかと思ったら、まったく違いました。

新鮮味はなし

 十七人の閣僚中、文部科学相、経済産業相、国土交通相、行政改革相、経済財政相の五人が留任。他の閣僚も小泉政権や党幹部として弱肉強食の「構造改革」路線を推進し、社会保障を切り捨てたり、アメリカ言いなりの日米同盟を強化してきた当事者がポストを違えてまたぞろ顔をそろえたのです。新鮮味も何もありません。

 財務相、文科相、防衛相のポストには安倍首相の出身派閥・町村派と違う派閥会長ら領袖クラスが就きました。党幹事長と総務会長も同じです。昨年九月の組閣で安倍首相が自らの立場に近い人脈で閣僚を固めたことから「論功行賞人事」「お友だち内閣」と揶揄(やゆ)され続けたことを意識した布陣がありありです。

 安倍首相にとっては「挙党態勢」「重厚内閣」とすることで与党に参院選惨敗の反省をみせたつもりなのでしょうが、国民向けには何ら反省していません。

 参院選で国民が示したものは何だったのか。

 「消えた年金」問題や「政治とカネ」のスキャンダル、相次ぐ閣僚の暴言にとどまらず、小泉政権から続く「構造改革」路線による国民の暮らし破壊、貧困と格差の拡大をもたらした政治に対する深い怒りです。また、「戦後レジーム(体制)からの脱却」を旗印として、侵略戦争に無反省なまま、憲法改定を政権公約の第一に掲げた安倍政権の危うさに対する国民の強い警鐘です。自民党自身、参院選総括で「構造改革の推進でもはや地方が耐えられなくなっている」「国民意識とズレてはいなかったか」と認めています。

 ところが、「構造改革」路線推進の主要ポストである経済財政担当相、行革担当相、経済産業相を留任させたのです。大田弘子経財担当相が就任会見で「経済財政諮問会議の重要性はいささかも変わらないし、改革に停滞は許されない」と述べたことは、選挙で下された民意への無反省ぶりを象徴しています。

国民より米国

 侵略戦争を正当化する問題でも改造内閣は、安倍首相を含め十八人のうち九人が、改憲・右翼団体の日本会議と連携する日本会議国会議員懇談会(日本会議議連)に所属。同議連のもとにつくられた「教育基本法改正促進委員会」の役員も三人います。党幹事長に日本会議議連の特別顧問で前会長の麻生太郎前外相を起用したことも、改造内閣がいかに侵略戦争に無反省なのかを物語っています。

 安倍首相は、高村正彦元外相の防衛相の任命にあたって、「テロ特措法の期限延長、在日米軍再編についてしっかり取り組んでほしい」と強調しました。町村信孝外相は「日米同盟がわが国の国際関係の基軸だ。日米関係の基礎を固めていく」と語りました。

 国民の暮らしには目を向けず、改憲路線にしがみつき、アメリカのメガネでしかみない政治です。自らの悪政に「反省」もできない安倍改造内閣・自民党に未来はありません。(高柳幸雄)


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