2007年8月23日(木)「しんぶん赤旗」

ハンセン病

療養所の医療充実を

07年度対策協 元患者ら要求


 ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会(全原協)、同弁護団、全国ハンセン病療養所入所者協議会の統一交渉団と厚生労働省との年一回開かれる二〇〇七年度「ハンセン病問題対策協議会」が二十二日、東京都内で開かれました。

 謝罪・名誉回復、社会復帰・生活支援、在園保障、真相究明、療養所の将来構想の五つの課題について全原協などが「統一要求書」を提出して協議しました。

 今年の特徴は、全国十三カ所の国立ハンセン病療養所の在園者数が三千人を切り、平均年齢も七十九歳と高齢化が進む中で、「終生の在園保障と社会の中で生活するのと遜色(そんしょく)のない水準を確保する」課題について深刻な実態を踏まえて議論されたことです。

 とくに、医療体制が悪化し、全国十三の療養所の医師定員数は百四十四人ですが、十五人が欠員となっています。静岡県の駿河療養所は、常勤する内科医が一人もいないために、日常の治療に支障をきたし、「夜も安心して眠れない」との不安が入所者からでています。

 統一交渉団は、「命を脅かし施設の破壊につながる」問題として、医師欠員を直ちに補充すること、寝たきりや入院治療を要する「不自由者棟」に副看護師長を配置すること、リスクマネジャーの欠員のでている三つの療養所(駿河、奄美、宮古)に速やかに配置すること―を要求しました。

 厚生労働省側は「現実的対応をしていく」とこたえるにとどまりました。全原協の谺(こだま)雄二会長は「今日の交渉は不満足極まりない。私たちは国によってどのような歴史を歩まされてきたのか。高齢化して風邪をひいただけで満足な治療を受けられず認知症になってしまう入所者もいる。国は法的責任を認めたわけで、それにふさわしい施策をしなくてはならない」と厳しく国の対応を批判しました。


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