2007年8月20日(月)「しんぶん赤旗」

平和博物館 新たに2つ開館

住民参加型で運営

戦争遺跡シンポ


 東京都国立市で開かれていた「戦争遺跡保存全国シンポジウム東京大会」は二日目の十九日、四つの分科会で討論した後、全体集会を開き、閉会しました。

 「今年度、二つの平和博物館が開館したことに、心から喜びを分かち合いたい」―。第三分科会「平和博物館と次世代への継承」では、各地から平和博物館開設に向けた運動が報告され、活発な討論が行われました。

 五月二十六日に開館した山梨平和ミュージアム。同館理事長(61)は「開館にこぎつけられるかどうかは、共感してくれる人の輪をどれだけ広げるかです」と強調。「博物館も住民参加型で運営しています。一般の方が戦争資料を持ち込み展示しています」

 名古屋では「戦争と平和の資料館 ピースあいち」が五月四日に開館。オープニング風景をとらえたビデオを紹介した男性(68)は「二〇〇五年にミニモデル博物館を数日間開催し、常設の博物館建設を訴えました。そうしたらまったく面識のない方がぜひ使ってくださいと一億円の寄付を申し出てきました」と、奇跡の開館にいたった経緯を語りました。

 長野県からは松代大本営平和祈念館開館へむけ運動している女性(59)が発言。「ことが皇室にかかわってくると『菊タブー』とでもいうんでしょうか。行政が冷たいんです」と困り果てた表情。「敷地はすでに借りていますが、ここに建物を建設するには隣接する道路の許可がおりなければ認定されないのです」と、十一年越しの計画がとん挫している現状を嘆きました。

 「いまなぜ浮島丸事件か」と問いかけた京都府の女性。戦後まもなく、故国へ引きあげようと朝鮮人を乗せた浮島丸が舞鶴港で撃沈、数百人が犠牲になった事件です。「船は沈んだまま九年間も放置され、いまや残っているのはこの写真だけです。博物館をつくれといってもできません。形がないものは心で伝えていかなければ」と話しました。

 このほか、千葉県館山市からは街ぐるみで「平和・交流・共生」をテーマに、戦争遺跡だけでなく地域の歴史や自然環境を生かした「地域まるごとミュージアム・安房」のユニークな取り組みが報告されました。

 討論では「自衛隊の海外派兵を平和への国際貢献として紹介するなど、官営博物館は右傾化の流れに引きずられることもある。住民運動が支えないと本当の意味での平和博物館にならない」などの意見が出されました。


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