2007年8月19日(日)「しんぶん赤旗」

戦争遺跡は語り続ける

保存のとりくみ交流

東京でシンポ


 「東京の戦争遺跡を通して歴史と平和を考えよう」と、第十一回戦争遺跡保存全国シンポジウム東京大会が十八日、東京都国立市の一橋大学で始まりました。戦争遺跡保存全国ネットワークと実行委員会の主催。三百人余りが参加した全体集会では、一橋大学大学院の吉田裕教授の講演と全国各地の戦争遺跡の実態や保存のとりくみの報告を受け討論しました。

 実行委員長の十菱駿武山梨学院大学教授は、戦争の記憶が風化しつつあるなか、戦争遺跡を通して、実相を正しく伝えていくことの重要性を述べ、イラク派兵、教育基本法改悪、改憲の動きなど戦争の時代に進むような状況に対し、「平和と命の尊さを市民の視点で考えていきたい」と呼びかけました。

 「現代日本における戦争の記憶と戦争責任問題」について講演した吉田氏は、戦後、軍隊や戦争はこりごりだという非戦の政治文化が形成される一方で、戦争責任を棚上げ、侵略戦争そのものを否定する動きがあることを指摘。戦争体験者が減少し、非戦の文化が薄れていくなか、戦争をアニメやゲームで認識している世代が現れていると述べ、「戦場と戦争の現実に対するリアルな想像力を回復し、戦争の記憶と正面から向き合うことが必要だ」と訴えました。

 各地から、保存を進めていく全国の運動の重要性、侵略戦争を美化する扶桑社版教科書を使用している東京都杉並区での同教科書の誤りを正す副読本づくり、硫黄島の戦争遺跡の現状のスライド、沖縄陸軍病院南風原壕(ごう)群20号の保存・公開について報告しました。

 集会では、関口博国立市長、歴史科学協議会の池享氏が来賓としてあいさつしました。

 シンポは、十九日午前九時から、分科会での討論をおこないます。


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