2007年8月12日(日)「しんぶん赤旗」

南京虐殺 家族奪い孤児に

中国人被害者が証言

日中戦争70年シンポ

東京


 平和のための証言集会「日中戦争七十年―南京虐殺と日本のいま」(主催は同実行委員会)が十一日、東京都内で開かれ、約百人が参加しました。参加者は、南京虐殺の被害者の証言を聞き、日本と中国の学者によるシンポジウムに熱心に耳を傾けました。


 第一部の「南京虐殺被害者の証言」では、インターネットのテレビ電話中継で常志強さんの証言を聞きました。常さんは当時九歳で、両親や弟四人が日本軍によって殺されました。また、被害者のDVDも流され、当時八歳の夏淑琴さんは、日本兵に三カ所も突き刺され、「幸せな九人家族だったのにいきなり孤児になりました」。当時十一歳の倪翠萍さんは、日本兵に左肩を撃たれ、痛くて地面を転げまわり気絶しました。父も母も撃ち殺されました。

 第二部のパネルディスカッションでは、南京師範大学教授の張連紅さんが、中国の学術研究にふれながら、「日中両国には二千年にわたる友好交流の歴史があるが、近代の不幸な歴史が今日の両国間の友好交流の最大の障害となっている」と語り、「この負の遺産を、日中間の共同の財産に転化できないか」と訴えました。

 都留文科大学教授の笠原十九司さんは、日本では南京虐殺の研究は九〇年代半ばに決着していたのが、九〇年代後半からまき返しがあり、「日本の権力が南京虐殺を抹殺しようとする背景には政治の中枢に戦争責任者の二世、三世がそろっている。その政治運動の中心に安倍首相がいる」と指摘。「歴史の転換点に立って未来を考えることが必要だ」と訴えました。


 南京虐殺(南京事件) 日中戦争中の一九三七年から翌三八年にかけ、日本軍による南京攻略戦と南京占領時に、日本の将兵が中国人捕虜や住民多数の殺害、略奪、放火、強姦(ごうかん)などを繰り返した事件。犠牲者数は数万から十数万ともいわれます。


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