2007年8月4日(土)「しんぶん赤旗」

「対テロ戦争」1兆ドル

今後10年間 議会予算局が試算

米国


 【ワシントン=山崎伸治】イラク、アフガニスタンその他で米国が進める「対テロ戦争」の経費が、二〇〇一年九月からこれまでに六千四十億ドル(七十一兆八千七百六十億円、一ドル=一一九円)にのぼり、二〇一七年までの今後十年間の経費が最大で一兆ドル(百十九兆円)以上にまでふくらむとの見通しを米議会がまとめました。

 これは七月三十一日に開かれた下院予算委員会の公聴会で議会予算局(CBO)が明らかにしたもの。際限のない戦費支出に、一日付の米紙ボストン・グローブは「米国の納税者は少なくとも十年間、戦争による財政的結果を感じるだろう」と指摘しました。

 CBOは、イラクなどへの派遣部隊を(1)二〇一〇年までに三万人まで削減(2)二〇一三年までに七万五千人まで削減―の二つのシナリオで二〇一七年までの十年間の経費を試算。(1)の場合では、四千八百十億ドルから六千三十億ドル、(2)の場合では、九千二百四十億ドルから一兆百億ドルになるとしています。

 米政府の二〇〇八会計年度予算の総額は二兆九千十八億六千百万ドル。最大で国家予算の約三分の一を今後十年間で「対テロ戦争」に支出するという計算になります。CBOはこの試算で財源についてはふれていません。

 国防総省はこうした長期にわたる戦費の見通しについては公にしていません。

 公聴会でスプラット委員長(民主党)はこの試算について、「五年間の実績から推定したもので、根拠のない想定を積み上げたものではない」と指摘。しかし出席したイングランド副国防長官は「今後五年間(の国防費)についてはある程度確かな見通しをもっているが、戦費についてはそれほどの確かな見通しはない」と述べました。


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