2007年8月3日(金)「しんぶん赤旗」

テロ特措法

野党、延長反対へ

臨時国会の焦点に


 十一月一日で期限切れを迎えるテロ特措法の延長問題が秋の臨時国会の重大焦点として浮上してきました。野党側は延長反対に向けて動き、日米両政府は焦りと危機感を強めています。

 「感謝している」

 米側は同法に基づいてインド洋で米艦船などへの給油を続けている海上自衛隊と、イラクで米兵を空輸している航空自衛隊に繰り返し表明しています。アフガニスタンでもイラクでも破たんしたブッシュ米政権の先制攻撃戦略。それでも付き従う日本政府の姿勢を、米国は「道義的な支援」(ライト在日米軍司令官)と受け止めています。

 小池百合子防衛相はすでに、「国際的に高い評価を受けている。特措法延長を否定する選択肢はない」(七月十二日)と明言しています。

 しかし、参院選で自民・公明両党が大敗を喫して過半数を割り込みました。民主党の小沢一郎代表は「これまで反対したのに、今回、賛成するはずがない」と反対を表明(七月三十一日)。日本共産党は米国の先制攻撃戦争に加担するテロ特措法に一貫して反対しており、参院で野党が一致すれば廃止されます。

 シーファー駐日米大使は、「日本は国際社会の責任あるメンバーだ。この問題(テロとのたたかい)はもはや重要でないと決定してほしくない」(英紙フィナンシャル・タイムズ一日付)と懸念を表明。民主党に対し、小沢代表との面会を申し入れたものの、小沢氏側は「会う理由はない」と当面、応じない意向です。

 危機感を強める与党が参院で否決後に衆院の三分の二の賛成で再可決することも想定されます。「民主党が参院で否決しても、衆院での再議決が織り込み済みならそれでいい」(防衛省幹部)との声も聞かれます。

 しかし、これは「本当の禁じ手中の禁じ手。もう参院はいらないというのと同じ」(日本共産党の志位和夫委員長)です。安倍自公政権と国民との矛盾が極限まで達するのは目に見えています。


 テロ特措法 米同時多発テロ事件後、アフガニスタンでの「対テロ」報復戦争を支援するため、二〇〇一年十月に自民・公明両党の賛成で成立。海上自衛隊は同年十二月以来、補給艦と護衛艦を派兵し、インド洋で対テロ作戦に参加する米艦船などへの洋上給油を続けています。(表)

 海自は対テロ作戦参加艦船の全燃料の四割を提供しており、「海の無料ガソリンスタンド」と言われています。

 しかし、アフガニスタンでは武装勢力タリバンが勢力を盛り返し、自爆テロや誘拐が頻発するなど治安が悪化しています。米軍の死者数も年々、増加しており、海自の活動はテロ根絶に何ら貢献していません。

海自の活動

派兵艦船数:のべ59隻
派兵人員:のべ1万600人
給油回数:761回
供給国:米国、英国など11カ国
艦船燃料供給量:48万キロリットル


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