2007年7月27日(金)「しんぶん赤旗」

選挙ゆがめるTV報道

自民・民主中心、争点ボケる


 参議院選挙も最終盤。各党の運動と同時に、マスコミの報道も投票行動に大きな影響を与えます。そんななか、読者からテレビの選挙報道があまりに不公平ではないかという声が寄せられています。そこで各党がどのように報じられているか緊急検証を試みました。

グラフ

放送法を逸脱

 対象は東京のNHKと民放4局の朝と夜の報道番組。期間は11日の夜から25日の昼までです。棒グラフはその結果です。便宜的に自民党、民主党の合計と日本共産党の放送時間をカウントしました。二大政党の放送時間は平均すると一日42分、共産党は8分20秒でした。詳しくはカウントしませんでしたが、その他の党も10分以内になっています。宮本顕治元議長死去関係のニュースが合計20分以上報じられた18日夜―19日昼にかけては、共産党の放送時間が多くなっていますが、自民、民主中心に報道されていることがわかります。公平な報道を定めた放送法から大きく外れています。

 具体的にみると、NHKは「党首演説」などで現有議席数で時間に差を設けていますが、選挙区放送ではおおむね公平に報じられています。一方、一部民放では意図的な二大政党報道がまかり通っています。東京選挙区を追った17日放送の「NEWS23」(TBS系)では自民、民主それぞれ二人の候補、一人の無所属候補に密着、コメントもたっぷり伝えましたが、議席を争う共産党の田村智子候補はじめほかの候補者はわずか数秒でした。

 さらに23日の同番組では自民、民主の党首のたたかいを紹介。そのなかの京都選挙区では自民党が2分36秒、民主が30秒、成宮まり子候補は「共産党も候補を擁立」のナレーションのみで、6秒でした。続いての徳島選挙区でも自民が1分28秒、民主が5分16秒で、共産党の花岡あつし候補は22秒でした。二大政党を前提にした時間的にも偏った報道は選挙をゆがめています。二大政党報道では、自民・民主間の争点になっていない、九条を守ろう、増税反対などの国民の声は無視されてしまいます。

永田町の視点

 選挙報道でメディアはまず政策的対決点を示し、国民に判断の材料を提供することが大切な仕事であるはずです。「とくダネ!」(フジ系)や「ザ・ワイド」(日本系)などで各党の政策をわかりやすく公平に伝える努力が見られました。しかし多くは、当落予想、政局、人物報道が中心になっています。そこにあるのは永田町の視点からのセンセーショナリズムです。テレビには公平であると同時に、視点を国民生活の現実に置いた政策的な掘り下げを期待したいのです。(荻野谷正博)


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