2007年7月26日(木)「しんぶん赤旗」

モラルなき安倍内閣

事務所費疑惑と暴言 次々と


 安倍内閣の閣僚に事務所費疑惑が相次いでいます。一方、政治モラルもない閣僚の暴言も次々。この怒りを受けとめられる党はどこか、きっぱり対抗できる党はどこか――。


 「改革を進めるのか、逆行するのか」―参院選遊説の先々でこぶしをふりあげ訴える安倍晋三首相。与党苦戦が報じられるなか「どうかみなさん、私たちに力を与えてください」と演説は懇願調に転じました。しかし、「『消えた年金』を解決するなんて当たり前」「争点を隠している」といって途中から去っていく聴衆も少なくありません。最低限の政治モラルさえ欠いた安倍政権が「改革」や「規範意識」をいう空虚さを国民は見抜いています。

 政権発足から十カ月を迎えた安倍内閣は、事務所費問題などの金銭スキャンダルが相次ぎ、閣僚の暴言も止まりません。すでに三人の閣僚が辞任・自殺。「一内閣の閣僚が次々に疑惑を持たれるのは、やはり異常というほかない」(神戸新聞二十四日付社説)と政治モラルが大問題となっているのに、安倍首相は疑惑の真相を明らかにせず、「きちんと説明している」とかばうだけ。暴言閣僚も罷免しません。

 参院選で自民党候補からは「(赤城農水相が)辞めてくれなんだら、選挙負けるがな」(大阪選挙区)など国民の怒りを必死にかわそうとする嘆きが聞かれますが、演説で安倍首相は「政治とカネ」の問題にまったくふれません。「政治とカネ」への完全な感覚まひ、暴言を暴言ととらえられない姿勢があります。

 「日経」二十二日付の世論調査では、内閣支持率は9ポイント減の27%。参院選まっただなかの急落だけに深刻です。内閣支持率が三割を切るのは、森政権当時の二〇〇一年二月以来です。6ポイント減の自民党支持率(29%)さえ下回りました。

 FNNの世論調査(十九日から二十一日実施)では、「首相の指導力」を「評価しない」が72・6%で「評価する」の15・8%を大幅に上回りました。赤城農水相問題への対応でも75・8%が「評価しない」としています。

 国民が求める不正・腐敗政治の一掃の声に耳も傾けず、対処もせず、消費税増税や憲法改定に突っ走る―安倍・自公政権の実態です。

佐田玄一郎前行革担当相 政治団体の架空「事務所費」などに約7800万円(90年から99年までの10年分)を支出
松岡利勝前農水相 議員会館を資金管理団体の「主たる事務所」にしながら「事務所費」に3359万円(05年分)計上。光熱水費の疑惑も
赤城徳彦農水相 実体のない政治団体に96年からの10年間で9000万円の「事務所費」を計上。政治団体の移転届を怠り、7年間で1200万円の「経常経費」を計上
塩崎恭久官房長官 政治団体の「事務所費」2100万円(05年分)のうち約1330万円が使途不明
久間章生前防衛相 「しょうがないなと思っている」―広島、長崎への原爆投下について
柳沢伯夫厚労相 「産む機械」―少子化問題で女性を「機械」や「装置」に例えて
麻生太郎外相 「アルツハイマーの人でも分かる」―日本と中国のコメの値段を提示して


“汚職に無縁、スキャンダル次々暴露”(米誌)

企業献金・政党助成金拒否の共産党だからできる

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(写真)松岡農水相の疑惑を追及する紙智子議員=5月8日、参院農水委

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(写真)事務所費疑惑を追及する井上さとし議員=3月7日、参院予算委

 政治モラルを欠いた安倍・自公政治の大掃除には、日本共産党の議席を伸ばすことがなにより「たしかな力」となります。海外マスメディアは「共産党の政治家は、政府に打撃を与える金銭スキャンダルを繰り返し暴露してきた。彼らは、権力からあまりに遠く離れた場所に身をおいており、日本の政治につきものの汚職に染まっていない」(米誌『タイム』電子版)と分析します。

 庶民感覚と離れた「カネ」の感覚まひの根源には、日本共産党以外のすべての政党がひもつきの企業・団体献金を受け取ったうえ、汗をかかずに国民の税金を山分けする政党助成金まで二重取りしている実態があります。

 日本共産党は、企業・団体献金も政党助成金も一貫して受け取らず、政治資金を国民一人ひとりからの浄財でまかなっている政党です。

 だからこそ、国民の立場からみて「おかしい」と思える政治資金の出入りや多額な事務所費の計上、政官業癒着の談合問題などを遠慮なく追及することができるのです。

 「他党にない情報収集能力を発揮してきた共産党」(『読売ウイークリー』四月八日号)の国会議員は、衆参合わせて十八人と少数です。そのなかでも事務所費疑惑の追及で国会を大きく揺り動かすことができたのは、不正・腐敗政治を許さない国民多数の声を日本共産党が代弁して追及したからです。

疑惑追及しても跳ね返る民主

 民主党はどうでしょうか。選挙戦で「緊張感のないままの安倍内閣が信任されたらどうなるか」(鳩山由紀夫幹事長)と「政治とカネ」で安倍・自公政権の姿勢を問題にしますが、自らの党所属議員で抱える事務所費疑惑を率先して解明するとはいいません。与党を追及すればブーメランのように自らに跳ね返ってくるからです。民主党は、政治資金の83%を政党助成金に依拠し、そのほかの資金も大企業からの通信簿つきの献金に頼りっぱなしです。


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