2007年7月23日(月)「しんぶん赤旗」

ボリビアで200万人デモ

右派の政府移転策動に反対

新憲法めぐり緊張


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 【メキシコ市=松島良尚】ボリビア国営通信によれば、同国の政府機関を石油や天然ガス資源が集中する南東部の首都スクレに移転しようとする右派の動きに反対して二十日、二百万人近くがデモと集会を行い、政府所在地ラパス近郊を埋めつくしました。

 ボリビアでは制憲議会による新憲法草案づくりをめぐり与野党間の緊張が高まっています。主な対立点は、右派が要求する天然資源の管理を含む県の「自治権」。これに対しモラレス政権は、右派のいう「自治権」は国を解体するものだと批判しています。

 こうしたなかで右派が改めて持ち出したのが、政府機関の移転です。

 集会に参加したラパス県のパレデス知事は、右派は特権を失いかねない新憲法を恐れていると批判。移転提案の狙いは、政府を揺さぶって混乱をつくりだし、制憲議会を行き詰まらせることにあると強調しました。

 全人口の約二割に相当するデモは同国史上最大規模だといいます。パレデス知事やラパス市と隣接するエルアルト市の各市長、さまざまな社会団体などが「市民スト」と名付けて取り組みました。政府は直接かかわっていませんが、右派の狙いに対抗し、新憲法づくりを支持する国民的団結を示すものとして注目されています。


背景に資源の富

貧困層への利益還元か

右派勢力の特権維持か

 二〇〇六年に初の先住民出身大統領として発足したモラレス政権は、豊富な天然ガスや石油資源の「国有化」を宣言し、人口の多数を占める先住民や貧困層へ利益を還元する政策を進めています。これに対し、資源の産出地である東南部地域のエリート支配層を基盤とする右派勢力は、多国籍企業や外国資本との関係を重視して政府の政策に反対しています。

 モラレス政権は変革を進めるには新しい憲法が必要だとして昨年、制憲議会選挙を実施。与党は過半数を得たものの、改定に必要な三分の二には足りませんでした。このため制憲議会内での対立が一年近く続いた後、六月に憲法草案の起草委員会が発足しました。

 ボリビアの政府所在地は人口八十万人のラパスですが、法律上の首都はスクレ(人口二十二万人)です。


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